パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-202★
問5-12:
禅師にお訊ねします。
女性に生まれて、出家し、修行しても、今生は解脱を成就することができません。
どのようにすれば「転女成男(=女性から男性に変わる)」して、来世また修行を続けることができるのでしょうか?
慈悲をもって開示して下さい。
答5-12:
仏陀の言ったように、一人の人間は、己の清浄なる戒行によって、願望を実現させることができる。
同様に、女性もまた清浄なる戒行によって男性に転生することができる。もしジャーナを証することができるならば、そして、それを臨終のその一瞬まで持続することができるならば、性根がないものの、男性の相を有する梵天人に生まれ変わる事ができる。
もし彼女が、止禅と観禅の修行をしていて、初果ソータパナの証悟に成功するならば、葛碧王女(Princess Gopika)のようになれる。
彼女は初果を証悟した後、男性に生まれ変わりたいと発願し、その結果、その思いを成し遂げたのである。
問5-13:
上座部仏教の仏陀観では、仏陀は「万能、全能」なのでしょうか?または一人の覚悟の人(=悟りを開いた人)に過ぎないのでしょうか?
答5-13:
仏陀は万能ではなく、一人の覚悟の人に過ぎない。《法句経Dhammapada》第276章の中で、
仏陀は開示して言う:
’Tunhehi kiccaṁ ātappaṁ;
Akkhātāro Tathāgatā
Paṭipannā pamokkhanti
Jhāyino Mārabandhanā’
「あなた方は、己自身の努力によるべきである。諸仏はただ導師として存在するだけである。
(+導師は)修行者が、魔王のくびきから脱して、解脱に至ることを専注し、見守っている
(+に過ぎない)」
仏陀は人類と天神の最も佳き導師であるものの、しかし、彼は万能の救世主ではない。彼は我々に涅槃へと向かう道を指し示してくれるが、しかし、彼が我々の代わりにその道を歩いてくれるわけではない。
彼は、業果がどのようにして作用を発揮するのかを知っているが、しかし、彼とて業果に反することはできない。もし彼が万能であれば、彼は自分が動かせない石、というの生み出すことができるのではないだろうか?
このことをよく考えて欲しい。
その上、もし仏陀が万能であれば、彼には慈悲が足りないことになる。というのも、彼は神通力をもって、一切の衆生を全員、仏にすることはなかったが故に。
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(つづく)
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訳者コメント:下線は訳者。文中の詩文の中国語を直訳すると
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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>