Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(3)

次は戒と律の話です。

テーラワーダの比丘は、227の戒と律を守ります。

戒と律は、それぞれ性質が異なります。

戒は、してはならない、という禁止事項。

律は、こうしましょう、ああしましょうという

実践事項、という訳です。

タイの僧侶、アーチャン・K に 227条全部覚えているのかと尋ねた事がありますが、こう言っていました:

「いや、227条全部は覚えられない。そのうち、違反すると罰せられるものが、14箇条あるので、それはしっかり覚えている」と。

罰とは、厳しいのはサンガ永久追放で、緩いのは自分の指導僧に、懺悔をすれば、よいそうです。

227条、全部は覚えていないとは言っても、実は、月に二度のウポーサタの日の夜、227条の戒と律を、パーリ語で読み上げる儀式があります(この儀式自体は、<パーティーモッカ>と言います)。

輪番制で、当番にあたる僧侶が、真夜中、本堂の真ん中で、一つ、何々、二つ、何々、と空で読み上げます。度忘れして詰まると、後ろに座っている人がそっと教えてくれます。

227条ありますから、なかなかの迫力です。

ある時、タイの森林寺院でしたが、私はその場に居合わせて、その儀式をみたのですが、後で「在家の女性は、みてはいけないよ」としかられました(座禅・瞑想の後、そのままボーと座っていたら、僧侶たちがドドッと入って来て雛壇に座り、あれよあれよと、戒・律の読み上げが始まってしまって。見てはいけない、とは知りませんでした)。

在家の五戒は、皆様ご存じと思いますが

(1)不殺生(2)不妄語(3)不偸盗

(4)不邪淫(5)不飲酒(麻薬なども含む)です。

出家の五戒は(4)の不邪淫が不淫になります。出家してお寺に住むようになったのですから、家に戻って妻と、夫と・・・それはだめですよ、という訳です。

サヤレー(メーティラシン)は、5戒、8戒、9戒、10戒まであります。

8戒は、出家の五戒に、(6)午後、食事しない(7)お化粧しない。歌舞音曲を見ない、聞かない(8)高くて、大きなベッドに寝ない、の3か条が増えます。

9戒は、これに<慈悲の心で過ごす>という、戒というより律ですか、それが増えます。

10戒は、8戒の<お化粧しない、音楽聞かない>を二つに分けて、9か条とした所へ、(10)お金を持たない。お金に触らない。を入れて10箇条とします。

お金を持たないというのは、ちょっと大変。

どこへ行くにも、お金の管理をするカッピヤ(白衣浄人)という、在家の付添人が必要になるからです。

在家の方が、僧侶に金銭でお布施するのはOKです。ただし、本人が直接受け取る事はなく、カッピヤが代わりに預かる形になります。

私がパオ森林寺院にいたとき、台湾人女性で10戒のsayalayだった方は、雑貨屋に一年分のお金を預けておき(預けに行くときは在家が手伝う)、日用雑貨が必要になった時は、掛け売り?みたいにしていました。

カッピヤは、227条を守っている比丘のお手伝いをするのが本筋で(比丘の手伝いをするのは、功徳になる、とも言われています)、sayalay についてくれるカッピヤは、余りいないようです。

私はタイのお坊さんのカッピヤとして、バンコクから東北タイへ、一緒に旅行したことがあります。ただし、僧侶と在家女性、二人連れだっての旅行はできませんから(戒律違反)、小僧さんを一人つけての(潔白の証人?)、珍道中でした。