Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213‐10

<如何にして未来を識別するのか>

過去世の因果を識別することを通して、観智の力を育成した後、あなたは、また、同様の方法で、来世の因果を識別することができる。

あなたは、今後において、変化するであろう未来を見ることができるが、それは、過去と現在の因による果報であり、現在の因とは、あなたがまさに実践している最中の、禅の修行も含まれる。

未来を識別したいのであれば、先に、現在の名色法を識別する。その後に、未来に向かって、今世の臨終のときまで観察すると、その時、あなたは、業、業相、または趣相が、今生または過去世になしたある種の業の力によって、生起するのを見る。その後、あなたは、来世に生まれ変わるときの名色法を、識別することができる。

来世を識別する時、もし、梵天界に生まれ変わるのであれば、それは、三門しかない:すなわち、眼門、耳門と意門である。もし、欲界天または人道に生まれ変わるならば、六門あることになる。

このように、引き続き追跡調査して、最後の無明が余すところなく滅尽するところを識別するとしたならば、それは、阿羅漢道(arahatta-magga)を証悟した時である。

あなたは、五蘊が余すところなく滅尽するときまで、引き続き追跡調査する(+べきだ)が、この事は、阿羅漢の生命が終わるときに発生する、すなわち、般涅槃の時で、ある。

故に、未来があと何世あろうとも、あなたは、すべてを、識別しなければならない。その時、あなたは、無明の滅するが故に、色法が滅する等などの事を、識別することができるに違いない。

こうしてあなたは、現象(dhamma)の消滅を識別するのである。

この、過去、現在、未来の五蘊、及びそれらの間の因果関係を識別する方法は、我々は、第五法、と言っている。これは、シャーリプトラ尊者の

が教え、《無礙解道 Paṭisambhidāmagga》に載っている方法である。

第五法の修行を成功させたならば、あなたは、いわゆる第一法によって、縁起を識別する方法を学んでもよいが、これは、仏陀が教えた方法である。

仏陀は、多くの経の中で、この方法を教えているが、それはたとえば、《因縁品相応 Nīdāna Vagga Saṁyutta》及び、《長部・大因縁経 Mahānidāna Sutta、Dīgha Nikāya》などである。

縁起(paṭiccasamuppāda)の第一法は、正順の順番で、三世を経巡るものである。過去世の因:無明、行(+を見ることから始めて)、それらが現在の世の果を引き起こしている:すなわち、識、名色、六処、触、受を作り出している(+ことを見る。)

その後に、現世の因:すなわち、愛、取、業有が未来の果を齎す(+ことを見)、そして生、と老いと死などのすべての苦痛が齎される(+のを見る)。

いわゆる「縁摂受智」と呼ばれる二番目の観智を証得した後、あなたは、暫定的に断見、常見、無因見、無作見、等の邪見を断ずることができる。

過去から未来に至るまでの名色の流れを知見した後、あなたはすでに、暫定的にではあるが、断見を断ずることができる。

一切の名色法が、いったん生起するやいなや、即刻壊滅するのを知見したならば、あなたはすでに、暫定的にではあるが、常見を断ずることができる。

一切の名色法が、それらの生起する諸々の因を持っていることを知見したならば、あなたはすでに、暫定的にではあるが、無因見を断ずることができる。

諸々の因は、それらの果報の生起を齎すことを知見した後、あなたはすでに、暫定的にではあるが、無作見を断ずることができる。

このようにして、各種の智慧は、我々の過去、現在と来世に関する疑惑を取り除けるだけでなく、各種の、異なる邪見をも、取り除くこともできるのである。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(つづく)

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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>