4-1、軛孔経
ここで、私は《相応部・軛孔経》(Saṁyutta Nikāya、Chiggaḷayuga Sutta)の中の経文を一部分引用して、四聖諦の重要性を説明したいと思う。
この経の中で、仏陀は言う:
「比丘たちよ。もし、ある人が、真ん中に穴の開いた軛を大海の中に放り込んだとして、そして、海の中に一匹の盲目の海亀がいるとして、そのカメが百年毎に一度だけ海面に浮かび上がるとする。比丘たちよ。あなた方はどう思うか?あの、百年に一度だけ海面に浮び上がる盲目の海亀は、その頭を、真ん中に穴の開いた軛に突っ込むことがあるだろうか?」
「世尊、もし、その海亀がそのようにするならば可能ではありますが、しかし、非常に長い時間が掛かります。」
「その、百年毎に一回だけ海面に浮かび上がる盲目の海亀が、真ん中に穴の開いた軛に頭を突っ込むのに必要な時間は、愚かな人が、悪道に堕ちた後、再び人間界に生まれ変わる時間より、なお短い。どうしてか?比丘たちよ。悪道における行為は、仏法の導きがなく、正しい行為がなく、善行がなく、徳行がなないが故に。
そこにおいて常に見られるのは、相互の殺戮と、弱肉強食である。
どのようにしてか?
比丘たちよ。
その理由とは、彼らが四聖諦を知らないからである。
四聖諦とは何か?
それはすなわち、苦聖諦、苦の集の聖諦、苦の滅の聖諦と苦の滅に至る道聖諦である。
ゆえに、比丘たちよ。
『これは苦である』と知ることに努力しなければならない;
『これは苦の原因である』と知ることに努力しなければならない;
『これは苦の止滅である』と知ることに努力しなければならない;
『これは苦の滅に至る道である』と知ることに努力しなければならない。」
ここから、(+我々は)知ることができる。
もし、悪道に堕ちる事を避けたいと思うのであれば、四聖諦を知らなければならない。
中道とは、四聖諦を知り、涅槃を証悟するための徹見、真知、正覚を獲得する唯一の道なのである。
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(4-7につづく)
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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>