Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-17

菩薩は答える:

「国王。彼女は、己の美貌を過度に自慢して、そのために生活が放逸で、善い事をしませんでした。ゆえに、彼女は、現在、この公園の中で一匹の糞虫(=糞の中の蛆)になっています。

「そんなことは信じられない!」国王は言う。

「それでは、私が彼女を連れてきて、あなたに会わせましょう。それに、彼女に話をさせることもできます。」

「彼女に話をさせてくれ!」国王は言う。

菩薩は命令する:

「牛糞の中で忙しくしている、そこの二匹よ。こちらに来て、国王にお目通りしなさい!」

彼の神通力によって、彼らは国王の前にやって来た。菩薩はその中の一匹を指差して国王に言った:

「国王、ごらんなさい。これがあなたの皇后、ウッバリなのだ!彼女は、彼女の糞虫夫と共に、糞の塊から出てきた所なのですよ。」

「ええ?私の皇后ウッバリは、一匹の糞虫になっているって?私は信じない!」

「国王。私が、彼女に話をさせます。」

「彼女に話をさせて!尊者。」

菩薩は神通力によって、彼女に人語が話せる能力を与え、その後に言った:

「ウッバリ!」

「何でしょう、尊者?」彼女は人語で答えた。

「あなたは、前世はどのような名前だったか?」菩薩は訊ねる。

「尊者、私はウッバリという名で、アッサカ王の皇后でした。」彼女は答える。

菩薩は引き続き尋ねる:

「教えてくれたまえ。今、あなたはアッサカ王を愛しているか、それともこの糞虫を愛しているか?」

彼女は答える:

「尊者、それは私の前世でのことです。当時、私と王は公園の中に住んでいて、一緒に色、音、香り、味、触の五欲を享受していました。しかし、今では、私の記憶はすでに、転生することによって、曖昧模糊となりました。彼は私にとって、(+今となっては)何だというのでしょうか?今の私は、アッサカ王を殺して、その喉の血でもって、私の夫である糞虫の足を洗ってあげたいものよ!」

その後に、彼女は人語によって、国王の面前で以下の様な偈詩を述べた:

アッサカ大王は、かつての私の愛する夫であった、

我々は相思相愛、愛し合ってこの公園で散歩した。

しかし、今では新しい愁い、新しい喜びが古いものを打ち消した、

私の糞虫夫は、アッサカ王より更に愛おしい。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(4-18につづく)

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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayala>