パオ・セヤドー講述「顕正法眼」(翻訳文)~5-35
念の特徴は、不動揺(=動揺しない事)で、言い換えれば、目標(たとえば、安般禅相または究極法)に対して、それを見失わない、という事でもある。
論師の解説では、念とは、心を目標に安定させることであり、それはちょうど、石が水の中に沈んでいくようなもので、ひょうたんが水に浮いて漂うのとは反対である、と言う。
念は、心をして、四念処や、その他の、証悟へと導く善法から離れ、漂わないようにする。
念のもう一つの特徴は、「獲得」または「手にする」(upagaṇhanā)で、言い換えれば、有用でかつ有益な法を、獲得することを意味する。
(+念が)生起する時、念は、その法が有益であるか、無益であるかを子細に検査する:
「これらは有益なる法である、あれらは無益な法である、これらの方は有用で、あれらの方は役に立たない」と。
その後に、(+念は)無益な法を取り除き、有益な法を手にする。
念の作用は、目標(たとえば、安般禅相)に対して、迷わない、または忘れない、である。
その現起(=現象)は、守護または心が目標(たとえば、安般禅相)に向かい、対応している状態である。
その近因(=直接原因)は、強くて力のある想(thirasaññā)、または四念処である。
それは、安定的に、目標の上に建立された門柱であると見做されるか、または、根門を守り、煩悩(心の傷つき)を退ける守衛であると、見做すべきである。
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(5-36につづく)
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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>