<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
(+上記の)偈の中の25年とは、彼が、仏陀の侍者として、過ごした時間である。
その間、彼は、初果ソータパナ聖者に過ぎなかった。初果ソータパナは、いまだ貪と瞋の煩悩を断じてはいない。そのため、ソータパナの心の中には、欲念と瞋念とが生起する。
アーナンダ尊者が、25年という長きに及んで、侍者を務める事ができたのは、心の中に、欲念と瞋念が生起しなかった為であるが、これは、彼が常に、仏陀の傍に追随していた事が、原因である。
更に重要なのは、彼の、仏陀に対する堅固な信心(=信頼)と、敬虔な奉仕の故に、彼の心の中には、欲念も瞋念も生ずる事がなかった事である。
優陀夷(Udayi)比丘は、ある時、アーナンダ尊者を、このように批判した。
アーナンダ尊者は、かつて世尊にこのように訊ねた。
彼(=仏陀、如来)の声は、宇宙の中において、どれほど遠くへ伝わるものなのでしょうか?
世尊は答える:
諸仏は測ることができないのです。(+諸仏の)声は、一千世界(一千日、一千欲界天、一千梵天を含む)よりさらに遠くへ(+伝わり)、また、三千世界より更に遠くへも、伝わります。
彼らの放つ光は、一切の世界を穿ち通り、あまつさえ、声と共に、そこに住んでいる衆生に届きます。
アーナンダ尊者は、それがすべてのものを包括し、かつ一切のフォースを超越しているという、このような描写を聞いて、とても喜んだ。
彼は感嘆する:
「私は本当に幸運だ。このような全能で、大勢力を具有する無上師がいらっしゃるなんて!」
優陀夷は彼を責めた:「アーナンダ、わが友よ。あなたの大師は大勢力を具有しているが、それが一体全体、あなたとどのような関係があるのか?」
これは、手厳しい指摘であった:
アーナンダはずっと、ただただ仏陀その人を見つめ続け、己自身の真実の利益ーー己の覚醒と悟りーーをなおざりにしていたから。
仏陀は即刻、アーナンダの傍に来て立って、述べた:
そうではない、優陀夷!
そうではない、優陀夷!
もし、アーナンダが、完全な解脱を得ないで死んだならば、彼の心清浄のおかげで、彼は天王に七回生まれ変わるか、または南瞻部洲の王に、七回生まれ変わる。
しかし、優陀夷!
アーナンダはこの一世において、究極なる解脱を証得するであろう。
≪増支部・三法集・第80経≫
(3-40につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>
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<「掌中の葉」(シッダッタ学院)中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>