<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
メーチ・ケーウは、心の言語で直接、これらの衆生と交流し、彼らにどのような問題があるのか尋ね、彼らの生活の背景を理解し、彼らの物語を傾聴した。
彼女は非常に、彼らを援助してあげたかったのだが、ただ、大方出来た事と言えば、彼女の禅の修行と梵行の功徳を、彼らに回向するのが精いっぱいで、後は彼らが、これら手に入れた功徳を、どのように上手に利用するか、という問題が残されるだけだった。
ある時、彼女は禅定の時、水牛事件より尚、不思議な事件に、出くわした。
それは一頭の、殺された猪であった。
この猪は、夜中に皐山に来て、餌を探しながら、野獣が水を飲む水溜まりまで来た時、そこに身を伏せて、隠れていた当地の猟師に、射殺されたのである。
メーチ・ケーウが、明け方まで瞑想していた時、一頭の猪の霊魂が、彼女の視野の中に、浮かんで現れた。
この霊魂が、メーチ・ケーウを訪ねて来た時、彼女はもう何を見ても不思議にも、思わなくなっていて、その為、意識を直接相手に向け、この猪に、一体何の為に、私の所に来たのかと、直接訊ねた。
猪は、驚いた様子で、ドギマギしながら、ボソボソと、語り始めた。
彼が言うには、自分は、水溜まりに来た時、阿黒(=アーヘイ)という猟師に、殺された。
メーチ・ケーウは、なぜ、そのように注意を怠ったのかと、問うた。
猪は、メーチ・ケーウに、彼を信じて欲しい、と懇願した。
彼は、生きていく為に、いつも警戒心を解かず、特に猟師には注意していた。
野獣が大自然の中で生きて行くためには、その凶悪危険な様は想像を絶し、その環境は、通常の辛苦、厳しさではない、と言った。
猪は森の中にいて、季節の影響を受けるだけでなく、その他の猛獣の脅威にも晒され、猟師と落とし穴は更に危険で、その為、いつも慄きながら、暮らしている。
この猪は、非常に慎重な性格で、故に長年生きてきたが、不幸にも、最後にはやはり、猟師に殺されてしまう運命となった。
(4-28につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>