「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)4-28
<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
この猪がメーチ・ケーウに訴える所によると、彼はまた再び、野獣に生まれ変わるのを、非常に恐れている、との事だった。
再度、あの信じがたい苦痛、長期的な怖れと猜疑の中で暮らすのは、耐え難い。
一頭の猪になって生まれれば、永遠に気の休まる時はなく、一日として、安心して日を過ごすことができない。
この猪はメーチ・ケーウに、彼は再び、畜生に生まれ変わることを、避ける事ができなさそうで、それが辛い。悲しいかな、福徳薄く、将来どこへ生まれ変わるのかという見通しも、立たない。
故に、わざわざ彼女に会いに来たのは、彼女が回向する功徳によって、自分が人として生まれ変わる可能性を高めたいが為だ、と言った。
彼は、自分が、先ほど猟師に殺された身体の肉以外に、彼女に供養できるものはなく、故に、メーチ・ケーウに慈悲をもって、彼の肉を食べて貰いたい。そしてメーチ・ケーウに、身体の気力を高めて、人に敬愛され、尊敬される精神生活を過ごして貰い、その事もまた、彼の功徳としたいのだ、と言った。
その猪は、急くようにメーチ・ケーウに伝えた。
明日の朝早く、猟師の家人が、彼の身体である肉を、寺院に持ってきて、供養する。彼は、メーチ・ケーウに、彼の肉を食べて欲しい。
この布施が、彼が、人として生まれ変わるのに十分な功徳で、あって欲しい。
猪は、彼女に一番上等の部分の肉を供養したいのだが、しかし、彼が思うに、人は利己的だから、あの猟師は、精肉は己の手の中に残し、残りの肉を持ってくるだろう。
(4-29につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>