南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)4-51

    <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 

卉晒村の女性道場の生活は、静かで素朴で、日常生活のすべての場面において、覚醒、覚知を育成する事を強調した。

メーチ・ケーウは、禅修行に精通していたので、新しく入門した女性たちの、修心の法門と、その方向性を指示し、指導する責任を負った。

彼女は、自ら身を持って教え、衆を指導した。

毎朝3時に起きて、経行を5時まで行い、朝の光が厨房の小道に届くと、彼女は皆と一緒に、その日の食事の準備をした。

早朝の空気は、軽い爽やかな線香の香と、朝膳の香に満ちた。

煮ておいたおかずの大半は横にとっておき、後ほど、近所の寺院の僧侶に、供養した。

恭しく、食べ物を僧侶たちの鉢に入れた後、メーチたちは粛々と大殿に戻り、皆で静かに食事をした。

食事をする前に、彼女たちは、食べ物の本質について思惟を巡らし、食べ物は、ただ単に、彼女たちが修行をするための資糧であり、知足の心がけに依り、何を布施してもらっても、その縁に従った。

食事が済むと、女性たちは食器を洗い、厨房を掃除し、その後で、各自の茅葺小屋に戻って、禅の修行をした。

午前中に一食しか食さないため、食後の時間はすべて、己の内部を専注する事に、力を注いだ。

朝の仕事を終えると、メーチ・ケーウは、一心に禅の修行をした。彼女は道場の中の、辺鄙な一角に建てられた、己の住まいに戻った。

ここには一塊になった竹藪がいくつかあり、その中に柚の木と紫檀の木が混ざっていて、環境は幽玄で、外界から遠く離れ、騒音を聞くことはなかった。

木陰の下の土地を、村民が綺麗に整頓して小道にし、道の凹凸を直し、それを経行道ーー歩く瞑想の道とした。

メーチ・ケーウはここに来ると、経行道をきれいに掃除し、その後に経行した。彼女はしっかりと意識を保ち、姿勢を正して道の端に立ち、両手は交差して、腰の際に置き、右の掌を左の掌の上に重ねて軽く握った。

目は下に向け、接心して専注し、その後に、行きつ戻りつ、行禅ーー歩く瞑想をした。

経行道の端から歩き始め、その端まで行き、軽やかに体を回し、もう一度、道の端まで歩いた。

何度も経行すれば、食後の昏沈を防ぐことができた。彼女は一歩ごとに”ブーーッダ”と念誦したが、それは毎朝、何時間にも及んだ。

彼女は心が、深く”仏陀”に専注して、沈潜するまで経行し、念が念を継いで、流れる様になったとき、歩くテンポが変化し、動作は、安定した念住に合わせて、全身が一体化し、調和がとれた状態で移動できるようになり、地面には空気のクッションが敷いてあるようで、彼女は経行道の上を滑るように歩いた。

(4-52につづく)

    <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

<菩提樹文庫>まで。ご協力、よろしくお願いいたします。

<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>