「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)4-56
<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
悠久の大地に聳える山々を、二週間近く這い登り、大きな山や深い谷を渡り、休耕田や果樹園を横切り、12日目の午後、メーチ・ケーウの一行は、アチャン・マンの森林寺院の傍に到着した。
彼女たちは、先にノッピ村に入り、村の婦人たちが、賑やかに情熱をこめて、出迎えてくれた上に、彼女たちに沐浴を勧め、埃まみれの衣類を、洗うように言った。
少しばかり休憩した後、彼女たちは、最後の旅路に出発した。
少し坂になった、くねくねと曲がりくねった道の先に、アチャン・マンの寺院はあった。
ここは広く開けた谷間で、周囲は、低く連なる連山、その山々はどこまでも続いていて、端が見えなかった。
ここには、頭陀僧が理想とする、辺鄙で静かな環境があり、アチャン・マンのサンガは、谷の後方の上部にある、木々が濃密に茂る、森の中にあった。
山の間には、あちらこちらに建てられた農家が見えた。それは5、6軒が一塊になったもので、これらの山岳民は、猟と農業で口を糊していた。
メーチ・ケーウが歩いて来た道々で、出会ったのと同じように、多くの頭陀僧は、これらの辺鄙な山奥にいる山岳民の布施・供養によって、色身と命を維持していた。
到着すると、メーチ・ケーウたちは、アチャン・マンが大殿に座って、ビンロウを噛んでいる所に出くわしたが、どうやら彼は、彼女たちの来るのを、そこで待っていたようであった。
皆は急いで履物を脱ぎ、甕から水を汲んで、足を洗い、木の階段を上って、彼に面会した。
アチャン・マンは振り向いて、大声で笑いながら、普泰の方言で、熱心に彼女たちに挨拶した。メーチ・ケーウに会った彼は、以前と変わらず、非常に嬉しそうであった。
彼女たちは、アチャン・マンの前で、一列になって並び、重々しい動作で、三拝の礼をした。
白い三衣が、身体の線に沿って擦れて、サラサラと鳴った。
次に、皆は、恭しく隅に寄って、そこに座った。
皆の心は歓喜で満ち溢れ、この、人々に尊敬されて止まない尊者を、期待を込めて見つめた。
(4-57につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」Dhammavamsa Publication
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>