南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)5-5

    <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 

アチャン・マハブーワは、心内の根本無明の保塁を攻撃し、無明の内にある、司令部を包囲するために、念と慧を運用して、相手を遁走させる事のできる軍隊を、組織した。

彼は念でもって、煩悩からの防衛とし、慧でもって、それらの力を無化したが、彼の軍隊は、組織的に、敵の要塞に肉薄した。

心内の煩悩がすべて消滅した時、最後に残ったのは、それらの総司令ーー生死輪廻を創造し、繰り返し延長させる所の、最も深層にある、無明である。

この時、彼は最後の一撃を、発動した。

それは、どのような強固な陣地であっても、必ずや攻め落とす事のできる、光り輝く稲妻のような攻撃で、無明の最後の一滴を、余すところなく殲滅し、徹底的に、輪廻の摩天楼を、叩き潰した。

その後に残った心は、徹底的に清らかで、一切の煩悩の本質から、解脱したのであった。

ここに、また一人の、円満覚醒した阿羅漢が、世に出現したのである!

同じ年、雨季の期間、落ち着いた様子で修行を終えたメーチ・ケーウは、禅修行の中で、一つの予兆を捉えた:

月と、月の周りの星々が、天から堕ちてきたのである。

彼女は、この禅相の意味を、一人の不出世の禅師と、彼の多くの利根の弟子が、もうすぐ卉晒村に来る、と解釈した。

彼女は、ひどく興奮した。

当然のように、彼女は、この予兆は、アチャン・マンが以前予言した禅師に違いない、と思った。

メーチ・ケーウは自信ありげに、その他の尼僧に宣言した。

来年、ある一人の偉大な禅師が、一群の頭陀僧を連れて、卉晒村に来る。

彼女は、誰が来るのか、その時点では分からなかったが、禅相の中に、極めて確実な予兆を見たのは、疑いがなかった。

彼女は、この禅師の到来を、以前アチャン・マンと一群の比丘が卉晒村に来たのと、同じだと考えた。

その時、彼女はまだ、小さな女の子ではあったが。

その後の何か月か、彼女の予測通り、幾人もの頭陀僧がやって来ては、去って行った。

メーチ・ケーウは期待を込めて、彼らが足を止めている森に挨拶に行き、彼らを接待したが、しかし、毎回、彼女は失望を抱えて、戻った。

これらの遊行僧が、予兆の人物ではない事だけは、確実であった。

(5-6につづく)

    <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication 

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>