我々が、仏教徒を自称するならば、在家は最低限<在家の5戒>を、出家者は<出家の五戒~227戒(比丘)、350余戒(比丘尼)>を遵守する必要があります。
その中で、在家にとっても、出家にとっても、重要な戒として「嘘をつかない(不妄語)」というのがあります。
他人に嘘をつくとき、先に自分に嘘をつかねばなりません。出来事の真相を隠すために嘘をつき続けていると、もちろん、嘘をつかれた他人が一番困惑しますが、実は嘘をつく人、そのついた当人自身、嘘をついた瞬間から、己の意識が朦朧としてくるのです。
嘘がばれないように、嘘に嘘を重ねていく。
幸か不幸か、ある程度の頭脳力のある人間は、嘘が破たんしないように、いい訳だけがどんどん、巧みになっていく。
それは仏陀が教えた<不妄語>から、どんどん離れていく行為です。
騙された人は、何時かは悪夢から覚めますが、騙した人の心は、法に対して、朦朧とした認識しかできなくなって、やがて、取り返しがつかない事態になるのです。
他者が<嘘つき>に憐憫するのにも、限界があります。
因果応報の花が咲いた後、仏法に虚偽を持ち込んだ、その果実が実り、やがて地に落ちるでしょう。
この時、他人は<嘘つき>を救えないのです。
自業自得とは、そういう事です。
<緬甸パオ森林寺院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay>