南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

般若の独り言~灯台下暗し

子供の頃から、仏教が好きであった私。

台湾から移民してきた父母は、北京語も日本語もできない文盲で(コミュニケーションは台湾語のみ)、家には本らしい本が一冊もなかったのに、なぜか私は小さい時から、仏教書を読んでいて・・・なぜ仏教書が家にあったのかは、記憶があいまいでよく分からないですが・・・。

そんな中で、私がずっと読みたいと願いつつ、手に入れるチャンスがなかった仏教書。

1)発趣論

2)俱舎論

3)大智度論

4)六祖壇経。

それがなんと、今回、我が精舎の大掃除をしていて、出てきました!3)4)の後ろの二冊!(灯台下暗し!)

1)発趣論は、今回、台湾の法雨道場のリトリートに参加した時、図書室で見つけて、一冊頂いて帰りました。さっそく翻訳して、ブログにUPしているので、ご存知の方も多いかと思います(『24縁発趣論』スシラ・サヤレー著)。

2)俱舎論は、<大乗のアビダルマ>らしいので、まぁ、読まなくてもいいですかね、南伝アビダルマが読めれば・・・他に重要な<論>としては<唯識論>があります。関東にいた時、中村元博士開校の東方学院に通って学ぼうとしましたが、難しすぎて3日でアウト。現代北京語は得意ですが、日本式の漢文読み下しはダメでした~笑。

3)の大智度論、台湾で出版されたもので、中国語版。

訳者の欄に《訳者:凡夫》ですって。

いいなぁ(笑)。

台湾人27人のお布施で出版された様です。

4)の<六祖壇経>(中国語)は、<曹渓原本>と銘打ってあります。

今、曹洞宗と呼ばれている宗派は、元は曹渓宗と呼ばれていたらしいです。

曹洞宗とは、時代が下った後に、曹何某と洞何某という、二人の僧侶の合名でできた、宗派名ですね。

私が若い頃に、出張で広東に行った時、六祖が北から南に向かって逃げて来て、開いたお寺である<曹渓寺>に行った事がありますが、小川の傍にあって、私が訪問した時、お寺は、古刹とは思えない程、とても荒れていました。

六祖は文盲で、<壇経>はご自分で書いたわけではない、弟子が聞き取りをしたのだろう、との事でした(<壇>は<談>の誤植説あり。ちなみに、タイのブッダダーサ比丘~遷化~は六祖がお好きで、<六祖壇経>をタイ語に訳されています。テラワーダの瞑想と禅宗の座禅は、親和性があるようです。)

この本の奥付を見ると、<六祖壇経>を出版したのは<台湾仏陀教育基金会>という団体。

台湾だけではなくて、世界的に、非常に有名な団体です。

有る僧侶がいて、在家の方がこの僧侶に「お寺を一軒寄進して差し上げたい」と申し出た所、この僧侶が「お寺はいらない。今住んでいるアパート(注1)の一室で十分である。そのお金で出版社を設立して、仏教書を出版し、希望者に無料で配布して欲しい」と言ったそうです。

その後、中国語の仏教書はもとより、英語、ヒンズー語、シンハリ語など、仏教書を必要としている国々の、その言語でもって仏教書を出版しては、台湾、中国、インド等、全世界に向けて、仏教書を無料配布し続けています(日本語版は余り出版していないようです)。

私も出版社のある杭州南路まで出かけて、たくさんの仏教書を貰った事があります。

「日本から来ました」と言うと、書庫に案内してくれて、私が好きなだけ選んだ大量の仏教書を、段ボールにつめて、日本の自宅まで送ってくださいました。

もちろん、本代も送料も、無料でしたよ。

注1:台湾の出家僧侶、尼僧は、出家を果たした母体寺院で修行した後、独居を希望する場合、割と簡単に許可が下りる。その場合、精舎を建てる者、またはアパートを借りて生活する者がいます。

アパートの場合、ビルの最上階を借りている場合が多いです。上の階の住人に、仏像を踏みつけられるのを避ける為だと思います。

 <緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院/Pañña-adhika Sayalay 般若精舎>