<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
1、欲俱生増上縁
「欲神足」が生起する時、それと同時に生起する名色法を、縁生法と言う。それでは、縁力は何か?
俱生増上縁が縁力である。
以下に説明を加える。
仏陀の時代、名を護国(Raṭṭhapala)と言う所の、ある一人の裕福な家庭の婆羅門がいた。
ある日、彼は、仏陀の以下のような開示を聞いた:
「世間的な欲楽への追求を手放す事によってのみ、世間を超越する所の解脱と真正なる楽しさを齎すことができる。」
この時、彼に、出家したいと言う強力な欲(chanda)が生じ、故に、父母に対して、出家を許して貰うよう乞うた。
しかし、彼は一人っ子だった為、父母は同意しなかった。
その為、彼は断食をして、己の決意を表明した。
母は困って、彼の友人を呼んできて、彼に出家したいという希望を放棄して、世間的な栄華を享受するよう、説得してもらった。
しかし、護国は彼の友人に言った:
「もし、私の父母が、私の出家を認めるならば、もしかして、父母は、私に会う機会を得るかもしれない。しかし、出家を許さないのであれば、私はもう死ぬだけだ。彼らは、私が死ぬのを見たいのか?それとも私を出家させるのか?出家しても、私は(+時々)家に帰って、父母に会う事はできる。」
父母はそれを聞いて、彼を出家させた。
欲神足が生起する時、護国の俱生名色法はコントロールされる。彼は、一死をもって、出家の決意を表明する事ができたが、これを俱生増上縁と言う。
上記の事柄は、欲俱生増上縁の威力を表しているものであり、それが生起しさえすれば、その他の名色法もまた、それと同時に生起して、それが達成しようとする目標に向かって前進するのである。
(3-17につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<『24縁発趣論』スシラ・サヤレー著 中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>