Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

FDC資料「37道品ハンドブック」10-8 Ledī Sayādaw著

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 

(以下の翻訳文は、福岡ダンマセンターの法話会に供する為の資料です)

仏法における遺産には、二種類ある。

それぞれ、善の遺産と、悪の遺産である。

継承者にも、二種類ある。

善の継承者と、悪の継承者である。

ここにおいて、私は《中部》、《根本法門品》、

《法嗣経》の、根本的な教義を説明する。

「比丘たちよ。汝らは、我が法を継承するべきである。

私の財産を継承してはならない。

私は汝らに慰めて、願って言う:

『私の弟子たちは、私の法を継ぐのであって、

私の財産を継ぐのではない。』」

この経文の意味は以下の通りである:

仏陀の遺産は「財の遺産」と、「法の遺産」の二種類がある。

「財の遺産」には三種類ある。

それは:

(一)「因縁財」

(二)「世間財」

(三)「輪廻財」である。

食べ物、衣服、住居、医薬などの利益(=己にとって良いもの)は、「因縁財」と言う。

世間的な名声、荘厳、尊厳、権力、世間的地位、教師、国師、部長、富豪で権勢のある者、従者を擁する者、これらは皆、「世間財」である。

楽しい輪廻、たとえば、比較的高位の地位に輪廻する、裕福な家庭に輪廻する、欲しい物はなんでも手に入る環境に輪廻する、これらは皆「輪廻財」である。

「法の遺産」に関しては、私はすでに説明を終えた。

仏陀はすでに予見した。

彼が涅槃に証入した後、仏法はこれら三種類の「財の遺産」の極端な成長・強化によって圧倒されるであろうと。

それはちょうど大海の中の島嶼が、三度の洪水で水没してしまうようなものである。

故に、仏陀は以下のような警句を残したのである:

「比丘たちよ。汝らは、私の法を継承すべし。

私の財を継承してはならない」。

「憐憫」(Anukampā)は、仏陀の憂慮と心配を表している。

仏陀が憂慮したのは、大海の洪水が顕現する時、島の上に住む人々は、洪水の衝撃により、四方八方に漂流する。

「財の遺産」が生起して、拡張する時、仏法における弟子たちは、侵入されて、行くあてが無くなり、その結果、「法の遺産」の継承は阻害される。

故に、仏法(ママ)に以下のような警句が残された:

「私の弟子たちよ。私の法を継承するべきであって、私の財を継承してはならない。」

(10-9につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

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<「37道品ハンドブック」Ledī Sayādaw著 中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>