Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

般若の独り言~逃げてもいいのです

千葉県野田市で、小四の心愛ちゃんが、父親から虐待されて亡くなりました。

そして先日、父親だけでなく、お母さんも、”共犯”という事で、逮捕されました。

お母さんの逮捕に対しては、賛否両論あるようです。

母親なのに、なぜ心愛ちゃんを守れなかったのか、逮捕されて当然、という意見。

夫から DVされると、恐怖から判断力がなくなって、夫に加担してしまう・・・弱い人間への批判より同情を、という意見。

そのどちらも、真実の一面なのかも知れません。

私は、今住んでいる Y盆地で、二人の外国人女性を救う、お手伝いをしたことがあります。

二人とも東南アジアの発展途上国から、日本人男性の元に嫁いできました。

Aさんは、日本での夫との生活が、自分が考えていたものとは違っていて、非常に困惑していました。私は、彼女を市役所の相談室に連れていきました。

相談員の答えは

「すでに子供を授かっているので、離婚しても日本にいられます。夫には離婚を申し出て、(寮があって)子連れでも働けるホテルか旅館に就職して、自立しなさい」。

家に戻って、「離婚する」と宣言した所、夫は驚き、その日から大変に優しくなったそうです。

現在彼女は、二人目のお子さんを生んで、近くの介護施設で、正社員として働いています。

今は幸せだそうです。

Bさんも東南アジア出身。

Y盆地の夫の実家に下見にきた時は、夫の両親はみな優しそうに思え、結婚を快諾。

しかし、いざ結婚して同居してみると、姑さんのいじめ(嫁いびり)が始まったそうです。

私は

「貴女は勇気を出して、嫌なことは嫌と、はっきり言いなさい。それでも姑さんのいじめが止まない様なら、別居する」

「もし、夫がマザコンで、貴女を守ってくれず、いじめを黙認したまま、同居を主張し続けるならば離婚して、母国に帰りなさい」

とアドバイスしました。

幸い、夫は優しい人で、別居も視野に入れて色々考えてくれていて、舅も「遠くから来て貰った上に、つらい思いをさせてすまない」と謝ってくれたそうで、Bさんは「もう少し頑張ってみる」と言っています。

凡夫の人間同士、お互い完璧では有り得ないので、人間関係において、ある程度は我慢も必要です。

しかし、限界を超えたら、逃げてもいいのではないですか?

何をもって限界と判断するか?

日本は同調圧力が強く、幸福度が低い国であることを鑑みれば、自分が考えているよりももっと早くに、逃げてもいいのではないですか?

そして、逃げる事に罪悪感を持たない事・・・心愛ちゃんのお母さんの様に、<逃げないでいる内に共犯者になってしまった>そんな悲劇を繰り返さない為にも。

追記:なぜ、日本のお寺は、弱者の為のシェルターの役割を果たさないのか、駆け込み寺はどこへ消えた?

日本の仏教界は、<人集めにお寺でコンサート>などと言っていないで、四方サンガの本来の役割を思い出してほしい。

  <緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>