翻訳『禅修指南』8-5(101/520)
<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
《彼所縁》
八種類の大果報心(mahāvipāka citta)と、三種類の推度心(santīraṇa citta)は、彼所縁の作用を、執行する事ができる。
すなわち、速行の取る所縁を、引き続いて、取る事ができる。
通常、欲界速行が、欲界を所縁として取った結果、(+それが)欲界有情の心の中に生起した時にのみ、彼所縁は、生起することができる。
欲界の所縁とは、「欲法」(kāmadhamma)の欲界心と心所、及び 18種の色法を言う。
但し、五門心路過程の所縁が極大である時と、意門心路過程の所縁が、明晰(vibhūti)である時(注30)にのみ、彼所縁は、生起することができる。
この定義に基づけば、彼所縁は、概念を所縁とする心路過程においては生起しえない。
もう一つは、《迷惑氷消》の中において述べられている事で、観禅速行(vipassanā javana)の後、通常、彼所縁は、生起し得ないが、しかし、未成熟な観禅速行の後では、時には、彼所縁が生起する場合も有り得る。
大善速行(mahākusala javana)の後、(相当の)喜俱または捨俱は、生起する可能性はある。不善速行(akusala javana)の後、大果報彼所縁、または無因推度彼所縁は、二者とも、生起する可能性がある。
当該の書『禅修指南』では、一項毎につき、只、一つの例を挙げているに過ぎない。
識別の修習をする時、あなたはその他の部分を、理に沿って、理解するべきである。
一般的な規則に従えば、喜俱速行の後に生起するのは喜俱彼所縁である;
捨俱速行と、憂俱速行の後に生起するのは、捨俱彼所縁である。
下記に、結生心において、無貪、無瞋、無痴(慧)を具足する所の、三因の凡夫(tihetuka puthujjana)の彼所縁を、列記した。
表7-1:三因凡夫の彼所縁
1、八種類の大善速行の後、11種類すべての彼所縁は、すべて生起する事ができる。
2、八種類の貪根速行の後、11種類すべての彼所縁は、すべて生起する事ができる。
3、二種類の瞋根速行の後、6種類すべての彼所縁は、すべて生起する事ができる。
4、二種類の痴根速行の後、11種類すべての彼所縁は、すべて生起する事ができる。
注30:明晰及び不明晰という二種類の所縁に関しては《アビダンマ概要精解》を参照の事。
(8-6につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html
<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版 中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>