南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『禅修指南』9-1(167/520)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

第八章:縁起第五法 

Paṭiccasamuppāda

《相応部・大因縁經》(Mahānidāna Sutta)の中において、以下の様に言う:

Gambhīro cāyam Ānanda 

paṭiccasamuppādo 

gambhīrāvabhāso ca.

Etassacānanda dhammassa 

ananubodhā appaṭivedhā 

evamayaṁ pajā tantākulakajātā 

gulāgaṇṭhikajāta

nuñjapabbajabhūta apāyaṁ 

dhggati、vinpātaṁ saṁsāraṁ 

nātivattati.

ーー「アーナンダ、この縁起というものは、確かに奥深く、また奥深いものである。未だ三遍知(注35)でもって、徹底的に縁起を知見しておらず、道果を証悟する事が出来ない有情は、生死の輪廻の中にからめとられ、ちょうど結び目がこんがらがった糸の(+玉の)様に、または織巣鳥の巣の様に、または端を見つける事の出来ない草製の足ふきマットの様である。

そして、その上、彼らは悪趣輪廻から離脱する方法を持たない。」

上の如くの教えに基づき、論師方は、《清浄道論》(第17章)の中において、以下の様に言う:

Ñāṇāsinā samādhipavarasilāyaṁ 

sunisitena bhavacakkama-padāletvā、

asanivicakkamiva niccanimmathanaṁ Saṁsārabhayamatīto、na koci supinantarepyatthi.

ーー「もっとも優れた定石で磨いて鋭くなった智の剣でもって、絶え間ない壊滅性を有する有論(縁起論の事)を一刀両断できるのでなければ、誰も輪廻の畏怖から解脱する事などできない。たとえ夢の中でさえも。」

上に述べた経典と、註釈の教えに基づけば、涅槃を証悟したいと思う禅修行者は、三遍知でもって、12縁起を知見する様、必ずチャレンジしなければならない。仏陀は教えて言う:何度も、繰り返して、随覚智(すなわち、無随覚、ananubodha)及び通達智(すなわち、無通達、appaṭivedha)を、道果を証悟するに至るまで、明確にすることができないが故に、人々は、生死輪廻から解脱する事ができない。

故に、人々は、随覚智と通達智を明確にするために、(+修行に)チャレンジしなくてはならない。

「明確にする」とは、推理で知るのでもなく、憶測で知るのでもなく、また、仏陀の言葉を記憶しておくだけのものでもなく、他人の言葉を記憶するものでもない。

注35:三遍知(tipariññā):所知遍知(ñāta pariñña)、度遍知(tīraṇa pariñña、また審察遍知とも)及び断遍知(pahāna pariññā)。所知遍知はまた随観智(anubodhañāṇa)の事である。度遍知と断遍知は、通達知(paṭivedhañāṇa)の事である。

(9-2につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html

<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版  中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>