南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『禅修指南』10-23(315/520)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

《有の縁によりて生》(Bhavapaccayā  jātai)

(有が生起するが故に、生が生起する)

Bhavoti  panettha kammabhavova adhippeto、

so hi jātiyā paccayāo na upapatti bhavo

(《清浄道論》第17章)。

「有の縁によりて生」に関して、有とは、生(jāti)を引き起こす事の出来る、業有を言う。

その業有は、生の真正なる原因である。

生起(upapatti)は、生(jāti)の真正なる原因ではない。

Upapattibhavupapattiyeva jātīti āha 'na upapatti bhavo’.

(《大疏鈔》)。

生有の生起は、生であるが故に、註釈では以下の様に言う:

「生起(upapatti)は、生の真正なる原因ではない。」

こうしたことから、生有と呼ばれる所の未来の五蘊が、生起し始める時が、生(jāti)である。 

これは、結生五蘊の生起を、言うのである。

たとえば、もし、禅修行者が、白遍四禅からの業有を識別する時、彼は、未来梵天生有を獲得する事ができる。

梵天生有五蘊の中におて、鼻浄色、舌浄色、身浄色と性根色がないが故に、彼は智でもって、鼻十法聚、舌十法聚、身十法聚と性根十法聚の不存在を識別する事ができる。

これらを子細に識別する事。

1、業有が生起するが故に、生が生起する;

業有は因、生は果。

《生の縁によりて老死》(Jātipaccayā jarāmaraṇaṁ)

(生が生起するが故に、老死が生起する)

識別する:

1、生が生起するが故に、老死が生起する;

生は因、老死は果。

これには二種類の識別方法がある。すなわち、俗諦法(samuti sacca)または究極諦法(paramattha sacca、真諦)である。

俗諦法は、「生において、一生のうちに一度だけ結生が出現する。老と死もまた、この様に発生する」。

これは未来世及び、老と死の識別によって知る事ができる。

究極諦法は:

1、(未来)の一期の生命の中において、将に生起しつつある色法。

2a、(未来)の一期の生命の中において、処門に基づいて生起する所の名法。

2b、(未来)の一期の生命の中において生起する結生、有分と死亡名法(離心路過程)。

(一)それら(1、2a、2b)の生時(uppāda)は生;

(二)それら(1、2a、2b)の住時(ṭhiti)は老;

(三)それら(1、2a、2b)の滅時(bhaṅga)は死。

智でもって、未来の一世の中の名色法の生、住、滅を知見した後、以下のものを識別する。

1、生が生起するが故に、老死が生起する;

生は因、老死は果。

 愁、悲、苦、憂、悩

愁、悲、苦、憂及び悩は、生ある人の中において生起する。

しかしながら、それらは必ず生ある人に生起するとは限らない法である。

已に、完全に煩悩を断じ除いた聖者にとって、彼らの名色流の中に生(jāti)があるものの、しかし、愁、悲等は生起しない(状況に応じて、ただ身苦だけは、生起する可能性はある)。

故に、愁、悲等は、生の定果(nukhaya)であるとは言えない。

それらが、未来において生起するであろう人ならば、愁、悲等の生起を識別する事ができる。

識別:

1、生が生起するが故に、愁が生起する;

生が因、愁が果。

2、生が生起するが故に、悩が生起する;

生が因、悩は果。

(悲、苦と憂もまた同じ方法で識別する事を理解すること。)

表9-4:愁、悲、憂、悩心路過程(略)

愁、悲、憂、悩は、瞋速行グループに属する。

ここにおいて列挙するのは、意門心路過程を例にしたものである。

五門心路過程もまた、状況に応じて生起する。

しかし、強烈な愁、悲等は、意門の中においてのみ生起することができる。彼所縁は生起することもあれば、生起しない事もある。

もし、彼所縁が瞋速行の後に生起するとするならば、ただ、捨俱彼所縁のみが生起することができる。もし、来世は梵天であれば、愁等は生起しえない。その界自体は無瞋である。

ここにおいて説明した縁起第一法は、今世を(縁起輪転の)中間に、おいたものである。

この方法に基づけば、禅修行者は、一個の過去世を真中において、更に遠い過去世を、識別する事ができる。

未来世を真中におけば、更に遠い、未来世を識別する事ができる。

(11-1につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html

<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版  中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>