パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」7-3(262/430)
<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
《中部・闡陀教誡經》(Majjhima Nikāya、Chunnovāda Sutta)
の註釈の中において、
「これは私のものではない;
これは私ではない;
これは私の私ではない」というのは、三相である、述べている;
故に、もし、あなたが11種類の色法を、無常・苦・無我として観照するのであるならば、まさに
「これは私のものではない;
これは私ではない;
これは私の私ではない」
と観照している事になる。
この二種類の「三相」の解釈方法は、みな同じものである。
五比丘が仏陀の開示である《無我相經》を聴聞している時、彼らは、仏陀の教導の通りに修行する事ができ、その場で、過去、未来、現在、内在と外在、粗いと微細、劣等と殊勝、遠いと近いの色法を観照できただけでなく、また、入れ替わりつつ、この11種類の色法を、無常・苦・無我として観照することもできた。
彼らは、仏法を聴聞したその時、徹底的に、観禅の修行ができ、この三相を了知したのである。
同様の方法は、受、想、行、識にも適用することができる、というのも、仏陀は、以下の様に開示しているが故に:
「一切の受について・・・
一切の想について・・・
一切の行について・・・
一切の識について、過去であろうと、未来または現在であろうと、内在、外在、粗い、微細、劣等、殊勝、遠い、近いものであろうと、すべて、智慧でもてそれらを如実に:
『これは私のものではない;
これは私ではない;
これは私の私ではない。』
という風に見做さなければならない。」
このことから分かる様に、五比丘は、仏陀の開示を聴聞したその時、その場で、11種類の五取蘊の三相を観照することができたのである。
皆さんに覚えておいて欲しい。
彼らは、過去の10万大劫以来、かつで、何度も、過去の諸仏の教化の時代において、この種の観禅を修行していたのである。これが、彼らが証悟できた一つの要素である。
もう一つの要素は、《転法輪経》を聴聞した後、彼らは11種類の五蘊を、無常・苦・無我として徹底的に了知することができた、ということである。
彼らは、五日間の間に、この三相を繰り返し観照した。
彼らの、阿羅漢果を証悟する観智が熟した時、仏陀は彼らのために《無我相經》を開示した。
その理由は、その時、もし、彼らが、再度、11種類の五蘊を無常・苦・無我として観照するならば、阿羅漢果を証悟することができたからである。
これが、仏陀が、彼らにこの經を開示した理由である。
仏陀は引き続き開示して言う:
「比丘たちよ。
この様な認識を具備した後、善学の聖弟子は、色に対して厭離し、受に対して厭離し、想に対して厭離し、行に対して厭離し、識に対して厭離する。
この様に厭離した後、彼は欲の染から遠く離れる。
欲染から遠く離れた後、彼は解脱を得る。
解脱を得た後、以下の様に智慧が生じる:
『私はすでに解脱を得た。』
彼は理解する:
『生已滅尽、梵行已立、
応作皆辦、不受後有』
(生はすでに滅尽し、梵行はすでに立ち、
なすべきことは無し終えて、後有を受けない)。」
聖弟子は11種類の五蘊に厭離を感じた、というのも、彼は明確に、五蘊の無常・苦・無我の本質を照見したのであるから。
世尊がこの様に開示した時、五比丘は、世尊の話に対して、欣悦と歓喜を感じた。
この經が語り終えられると、五比丘の心は諸漏より解脱し、執着を了無(=終了)させた。
仏陀の開示を聴聞すると同時に、五比丘はその時、その場で、11種類の五蘊を無常・苦・無我として観照した。
彼らの観智が徐々に熟する時、彼らはサターガミ道智でもって、涅槃を了悟し、貪欲と瞋恨の力は、削がれ弱くなったのである。
その後、彼らは、アナーガミ道智でもって、涅槃を了悟し、徹底的に瞋恨と欲界の貪欲を断じ除いたのである。
最後に彼らは、阿羅漢道智でもって涅槃を了悟し、残りのすべての煩悩を、徹底的に断じ除いたのである。
たとえば、驕慢、愚痴(=愚かで無知な事)、掉挙、昏沈と睡眠などを。
一つひとつの道智は、みな、徹底的に残りの一切の煩悩を断じ除いた。
故に彼らは「諸漏からの解脱、執着の了無」ができたのである。
もし、阿羅漢果を証得したいのであれば、あなたもまたこの様に修行しなければならない。
実際には、どの様に修行するのか?
私は《泡沫比喩經》(Pheṇa-piṇḍūpama Sutta)を用いて、11種類の五取蘊を無常・苦・無我として観照する方法を解説したいと思う。
経文を聞いて頂きたい:
(7-4につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等ほぼ原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html
<中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>