南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

般若の独り言~10の8乗/秒

1月24日より台湾法雨道場のリトリートに参加してきました(ブログに、何度も書いていますが~笑)

週の前半は、U シーラ Sayadaw による瞑想指導、

週の後半は、明徳尊者による、瞑想指導とアビダンマの解説でした(明徳尊者は台湾人ですが、見事な緬甸語をお話され、<中←→緬>の通訳もされます。)

週末、通訳を介さず、明徳尊者に直接、中国語で聞いてみました:

「心臓から生まれる心は、<10の8乗/秒>個で、その速度において、刹那に生・滅している、と言われています。

それほど高速に、刹那に生じては滅する心の、所縁すなわち心の対象は、色(素粒子)だったり、心心所だったりしますが、では、我々凡夫は何故、素粒子を直接観る事ができず、何を見ても、何もかもが、一塊の物質として、認知されてしまうのでしょうか?

明徳尊者「無明が原因です」

これを解釈すれば、素粒子素粒子の生・滅は、心の生・滅の速度より17倍遅い)が観えず、物質は【肉眼で見た通りに、そこに有るのだ】という思い込みは、凡夫による錯覚であり、外部世界の真の存在形式に対して、錯覚を齎す凡夫の心の状態が<無明>ということになります。

ゴータマ仏陀が悟り(正等正覚)を得た直後

「私の悟りは極めて微細で、人に説明しても分かって貰えないだろう」

と嘆き、伝道に懐疑的であった理由が、ここにあります。

真の仏弟子は、ゴータマ仏陀が観た風景

素粒子(色聚、色法)の刹那生・滅と、

素粒子より17倍速い)心・心所の刹那生・滅】

と同じ風景を観じて存在の不確実性を確認したいと願う。

そして、涅槃!

(追補:宿命通、他心通などの、仏法の中に見られる 4 種類の神通は、ゴータマ仏陀の教えである所の、素粒子を観察する為の< vipassanā> とは、関係がありません。

仏法の修行における最終目標は、第四禅に入った後(+第四禅から出て、変性意識を保留したまま)、高度で純粋な vipassanā を完成させ、存在の刹那生・滅(=空or無我)を直接知覚する事にあり、神通は、その修行の途中で得られる副産物に過ぎません。

神通を売りにする宗教、占い、おがみや、開運グッズ販売などは、ゴータマ仏陀の教えとは、何等の関係もない事を、申し添えておきます)

<緬甸パオ森林寺院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>