しかしながら、もし、未だ覚悟(覚醒)していないのであれば、我々はただ、89種類の心の中の54種類の心と心所しか、識別できない。
すなわち、12不善心(akusalacitta)
17無因心(ahetukacitta)(未だ、阿拉漢の生笑心は識別する事はできない)
16欲界善心(未だ、阿拉漢聖者にのみ生じる事のできる8種類の欲界唯作心は識別することはできない)、
5色界善心(未だ、五種類の色界果報心<注30>と五種類の色界唯作心を識別する事はできない)
4無色界善心(未だ、四種類の無色界果報心<注30>(ママ)と四種類の無色界唯作心を識別する事はできない)
こうした事から、苦聖諦を如実に知見する為には、我々は己みずからこの54種類の心及び相応する心所を知見しなければならない(事が分かる)。
ただ、まさに仏陀が言うように、我々が処する五蘊世間においては、名法は色法に依存して生起し、一つ一つの心識は皆、それぞれ個別の依処に依存して生起するのであるが、この事は、我々をして、己みずから色法を知見する必要がある事を意味しているのである。