南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#17-3

しかしながら、若し、禅修行者の信心(=確信、以下同様)が過剰に強い時――ここで言うのは、似相の修習に対する信心であるがーーその場合、彼の定力は却って、弱まるのである。

行き過ぎた確信は、強すぎる喜(pīti)を伴っており、故に、感情的な波を引き起こす、そしてその場合、禅修行者の心が容易に喜悦の興奮の干渉を受ける結果、慧根が似相を了知する事ができない、という事態が生じるのである。

ここにおいて、過度の信心(=確信)が所縁に対して決定(勝解)を行い、結果、慧が不鮮明、不安定になり、その他の精進根、念根及び定根もまた、それにつれて、弱まってしまうのである:精進(の力)は、相応する名法を策励し、維持して似相に向かわせることができず、念は似相への覚知を確立する事ができず、定は心がその他の所縁に向かうのを阻止する事ができず、慧もまた、徹底的に似相に通達する事ができない。

故に、信心(=確信)が過度に強い時、却って信心をば、弱めてしまうのである。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>