(答1-3の続き)
4)所縁密集(ārammaṇa ghana):上述の三種類の密集を透視した後、人々はなお、「『私』が究極名色法を見た」とか、「『認知の出来る私』が究極名色法を見た」<注108>と言うかもしれない。
この種の錯覚を打ち破る為に、三種類の密集を透視する事のできる観智の心路に関しても、我々は、後生の観智によって、その三種類の密集を看破しなければならない。
我々は、能観の作用を持つ観智名法を見る必要があり、また、名法(当該の名法は、同様に所縁を擁する)の三種類の密集を透視する能力を擁する必要があるが、この種の能観の観智名法は、同時にまた後生の観智の所縁となる。
では、如何にして、心理的現象の密集を看破するのか?
入出息似相を所縁とする近行定意門心路を例とする。
この種の心路は、一個の意門転向心と七個の速行心(javana)が含まれる。意門転向心識刹那の内には、12個の名法があり、一つ一つの速行心識刹那の中には、34個の名法がある。
もし、この種の方式によって、名法の四種類の密集を看破する事ができるならば、あなたは、極めて快速に生・滅する、心及びその相応心所のみを見る事になるであろう。
無常想によって、人々は二度と、心識をば霊魂であると誤認する事はなくなる、というのも、通常、無常想は、無我想へと導くことができるが故に。
まさに仏陀が《美奇亜経》(Meghiya Sutta)において言う様に:
”Aniccasaññino、Meghiya、anattasaññā saṇṭhā ti.”
「メギヤよ、無常想を有する者は、無我想を建立する。」(A.9.3;U. 31)。
(答3-1終了)