翻訳『親知実見』#35-8
サーマネラたちは、彼を見た後、お互いを馬鹿にする様に笑い合った:
「あれは君の父親、あれは君の祖父、あれは君の伯父さん!」
彼らは、歩きながら、笑った。
彼らは訊ねた:「居士の方、あなたの名前は?」
この様に聞かれた男性は、懊悩を感じて、背中に背負った薪を降ろし、衣服を整え、大長老(Mahāthera)に礼拝した、大長老に立ち止まって頂く為に。
比庫たちは立ち止まったが、サーマネラたちは彼を取り囲んで、大長老の前で、彼を嘲笑した。
この男性は、大長老に向かって言った:
「尊者、あなた方は、私を見ると、即、私を嘲笑する。
あなた方は、袈裟さえ着ていれば、比庫の生活を履行していると自認している様です。が、しかし、あなた方は、いまだ、心一境性さえも成就していないではないですか」
「私は、かつては、あなた方と同じ様に、沙門でありました。
私は、かつては、この教法の中において、大神通があり、大威力がありました。
私は、大地の上を歩くが如くに、虚空を歩くことができたし、土の中においては、それが、空の如くに、入ることができました。遠くを近くに、近くを遠くに、変化させる事も出来ました;
私は、一刹那において、10万個の輪囲世界を遍観することができました。
しかし、あなた方は、今、私の手、爪を見ましたか?
今では、猿の爪と同じです。」
彼は一本の木を指さしながら、続けて言った:
「私は以前、この木の下に座って、この手で、太陽と月を触ったものです。
私は、太陽と月に座っていながら、まるで、地上に座っているのと同じ様に、それらでもって、私の足を拭いたものです。
これらは、かつては、私に属していた神通ですが、しかし、放逸の為に、それらは退失してしまいました。
放逸する勿れ!
放逸によって、人々は、この様に、田畑に淪落します。
しかし、あれら、精進に住む人は、生・老・死を終結させることができます。
こうした事から、どうか私を、戒めとして下さい!
決して、止観善法の修習を、疎かにしてはいけません。
尊者の方々、どうかご精進を!」