南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#35-8

サーマネラたちは、彼を見た後、お互いを馬鹿にする様に笑い合った:

「あれは君の父親、あれは君の祖父、あれは君の伯父さん!」

彼らは、歩きながら、笑った。

彼らは訊ねた:「居士の方、あなたの名前は?」

この様に聞かれた男性は、懊悩を感じて、背中に背負った薪を降ろし、衣服を整え、大長老(Mahāthera)に礼拝した、大長老に立ち止まって頂く為に。

比庫たちは立ち止まったが、サーマネラたちは彼を取り囲んで、大長老の前で、彼を嘲笑した。

この男性は、大長老に向かって言った:

「尊者、あなた方は、私を見ると、即、私を嘲笑する。

あなた方は、袈裟さえ着ていれば、比庫の生活を履行していると自認している様です。が、しかし、あなた方は、いまだ、心一境性さえも成就していないではないですか」

「私は、かつては、あなた方と同じ様に、沙門でありました。

私は、かつては、この教法の中において、大神通があり、大威力がありました。

私は、大地の上を歩くが如くに、虚空を歩くことができたし、土の中においては、それが、空の如くに、入ることができました。遠くを近くに、近くを遠くに、変化させる事も出来ました;

私は、一刹那において、10万個の輪囲世界を遍観することができました。

しかし、あなた方は、今、私の手、爪を見ましたか?

今では、猿の爪と同じです。」

彼は一本の木を指さしながら、続けて言った:

「私は以前、この木の下に座って、この手で、太陽と月を触ったものです。

私は、太陽と月に座っていながら、まるで、地上に座っているのと同じ様に、それらでもって、私の足を拭いたものです。

これらは、かつては、私に属していた神通ですが、しかし、放逸の為に、それらは退失してしまいました。

放逸する勿れ!

放逸によって、人々は、この様に、田畑に淪落します。

しかし、あれら、精進に住む人は、生・老・死を終結させることができます。

こうした事から、どうか私を、戒めとして下さい!

決して、止観善法の修習を、疎かにしてはいけません。

尊者の方々、どうかご精進を!」

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>