Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳『親知実見』#35-16

問4-5:禅修行者は、近行定<注239>に近づくことによってだけでも、出世間の成就<注240>に到達する事ができますか?

答4-5:可能である。近行定にも、明瞭(明亮)で、光輝く、燦爛とした光明があり、この光を借りて、彼は、色聚、色法、究極名法及びそれらの因を識別することができる。その後に、彼は順序に従って観の修習を続ければよい。

問4-6:刹那定(khaṇika-samādhi)だけを用いて、禅修行者は、受念処(vedānānupassanā satipaṭṭhāna)を修行して、出世間の成就にまで到達することができますか?

答4-6:ここにおいて、我々は、刹那定に関する定義をしなければならない。刹那定とは何であるか?

二種類の刹那定がある:

1)止禅の刹那定

2)観禅の刹那定

止禅には三種類の定がある:

1)刹那定(予備定の一種)

2)近行定

3)安止定。

止禅の刹那定は、特に、似相(例えば、入出息似相)を所縁とする定力を指すものである。それは、近行定の前の定力に属する。これは、止乗者(samatha-yānika)について述べたものである。

純観乗者(suddhavipassanā-yānika)に関しては、もう一つ、別の刹那定がある。純観乗者は、通常、(その修行を)四界差別から始めるが、近行定または刹那定を証得した後、色聚及び色聚の中の四界を見ることができる。

《清浄之道》では、これを近行定であると言うが、しかし、《清浄之道》の復注では、これは一種の隠喩であって、実際には、真正なる近行定ではない、という。というのも、真正なる近行定は、非常に、ジャーナ<注241>に近いが故に。

しかしながら、四界差別の修習においては、ジャーナを証得することはできない。禅修行者が個別の色聚の中の四界を見ることができる時、その時、彼はすでに、深い定を擁しており、また、明瞭(明亮)な、光輝く、燦然とした光明をも擁している。たとえそうであってもしかし、彼は、それらを所縁としてジャーナを証得することはできない。

その原因は、二種類ある:

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>