阿羅漢は、涅槃果定に住する能力を擁するものの、しかし、彼らはやはり、滅定に住む傾向を持つ。
というのも、涅槃果定は、無為法を所縁としているものの、なお、「受」の名法が存在しているが故に。
しかし、滅定の中においては、僅かに残る行法は業生色、時節生色と食生色であって、心生色法はなく、心識もない。
滅定に入るためには、先に初禅に入らなければならない。
その後出定して、初禅の諸法を無常・苦・無我として、観照する。
その後、同様の過程でもって、順序よく無色界第二定ーー識無辺処禅(Viññāṇañcāyatana-jhāna)まで、修習する。
次に、第三無色定ーー無所有処禅(Ākiñcaññāyatana jhāna)に入り、出定後、以下の四項目の決意をする:
1)寿元の限度を考慮して、寿元期間において、滅定に入る時間(例えば7日間)を決意し、同時に、当該の時間が終了した後、出定すること(も決意する)。
2)仏陀が彼を召見したいと思った時、彼は滅定から出定する。
3)サンガが彼を召喚したい時、彼は滅定から出定する。
4)彼の周囲にある物品は、水または火などによって損壊されない。彼の袈裟と、坐っている場所(座席)は、定力によって保護される。しかし、その部屋の中にある家具、部屋そのもの、または建築物は、この第四項目の決意をなした後に初めて、保護を受けることができる。
次に、彼は、第四無色定ーー非想非非想処禅
(Neva-saññānāsaññā-jhāna)に入る。
当該の定において、僅か、一または二個の心識刹那の定に入った後、彼は決意しておいた期間ーー例えば7日間ーー滅定に入る。
定の中において、彼は何物も見ることはない。
というのも、すべての心と相応心所は、みな、すでに中断されているが故に。<注295>。