南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#41‐6

実例

一名の女性禅修行者による識別

更に明瞭に理解するために、我々は、一名の禅修行者が、どの様な現象を識別することができるのか、を例を挙げて説明する。

彼女が、臨終の時の名色法を識別している時、彼女は、一人の婦人が、仏教の出家僧侶に果物を供養している業を見た。

次に、彼女は、四界の識別から始めて、更に一歩進んで、当該の婦人の名色法を調べた所、その婦人は、非常に貧しくて、かつ、教育を受けたことのない村人である事を発見した。

己自身の貧困の境遇に思いを致し、彼女は当該の僧侶に供養をし、同時に、来世には、都会に生まれて、教育を受けた女性になりたい、と発願した。

この例において:

1)「都会において、教育を受けた女性」が、真実に存在すると錯覚するのは、無明(avijja);

2)教育を受けた女性の生命を貪欲に求め、渇愛するのは、愛(taṇhā);

3)教育を受けた女性の生命に執着するのは、取(upādāna);

4)果物を僧侶に供養した善行は、行(saṅkhāra);

5)業、すなわち、それらの業力。

今生において、この禅修行者は、緬甸(ミャンマー)の大都市において、教育を受けた女性となった。

彼女は(正見でもって)、過去世において、果物を供養した所の業力が、どの様にして、今生の果報五蘊を引き寄せたのか、を直接識別することができた。

この種の方法でもって、因果を識別する能力を、縁摂受智(Paccayapariggaha‐ñāṇa)と言う。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>