如何にして更に多くの過去世を識別するか
あなたが、上述の様に、前の一世を識知し、かつ、前の一世の五因(無明、愛、取、行と業)、及び、それらの、今生における五果(結生心(paṭisandhicitta)、名色、六処、触と受)を見ることができたならば、あなたは、同じ方法でもって、過去の二番目の生、三番目の生、四番目の生という風に、能力の許す限り、多くの生を識別する必要がある。
もし、過去生または未来世は、梵天界にいるならば、あなたは、三処(眼処、耳処と心処)しか見えない。(梵天界は)人類または欲界天の六処とは異なるのである。
如何にして未来を識別するか
ひとたび、この種の観智の力が育成されたならば(過去世の因と果を識別する事を通して)、あなたは、同様の方法を用いて、未来世の因と果を識別することができる。
あなたは、なお変化が発生する可能性を擁する未来を見るであろう。それは過去因と現在因という二者の果報である。あなたが、いままさに実践中の禅修行もまた、これらの因の一である。<注319>。
未来を識別しようとするのであれば、先に、現在の名色法を識知することから開始し、その後に、今生の死亡の時まで、未来に向かって識別しなければならない。
その時、業、業相または趣相が、今生において造(ナ)した所の、有る種の力として顕現する
この様にして、あなたは、未来世において生じるであろう結生名色法(paṭisandhiñāmarūpa)を識別することができる。
能力に合わせて、出来る限り、多くの未来世を見なければならない。無明が無餘に滅尽した時、これは阿羅漢道(arahattamagga)を証悟した時に発生するのであるが、それはまた同時に阿羅漢を己自ら証悟する時でもある。
引き続き、あなたは未来を識別し続けなければならない。
そして、五蘊(すなわち、名色)が、無余に滅尽するのを見た時、それはすなわち、阿羅漢の生命の終焉であり、あなたが般涅槃する時である。
この様に、あなたは無明が滅尽した為に、名色法が滅尽するのを見ることができる。
あなたは、諸法(dhamma)が滅尽に塵滅して、二度と来生がない事を見るであろう。
この種の方法でもって、過去、現在、未来の五蘊、及びそれらの間の因果関係を識別する。これがすなわち、我々が言う所の、第五法である。
これは、シャーリプトラ尊者が指導したものである。
識別が完成したならば、あなたは、仏陀の教えた第一法を学ぶことができる。
《表3a:生死輪廻の中の縁起<注321>》
上記<表3a>は、<菩提樹文庫>管理人様に作成して頂き、<菩提樹文庫>PDF版において、挿入、公開します。当ブログでは表が作成できないため。
第一法
縁起(paṭiccasamuppāda)第一法<注325>は、時間の順序に従って、三世を貫く(状況を識別する)。
それは、過去生の因、すなわち、無明と行から始まり、それらは、今生の果を造る:
果報識(結生識から始まる)<注326>、愛、取、有、未来世を造る生、老、死及びすべての、各種の痛苦。
あなたは、煩悩輪転の中において、無明、愛と取を見つけて、それが、如何にして業輪転を引き起こしたかを、及び業輪転の中の業力が、如何にして結生の時、及び生命の存続の期間の五蘊を生じせしめるかを、観照しなければならない。
以上は、如何にして第五法と第一法に基づいて、縁起を識別するのか、という簡単な説明である。
まだ色々多くの細かい説明が必要であるが、あなたは、一人の、資格のある老師(指導者)に従って、禅修行の時に、それらを学んだ頂きたい。
あなたが完全に、過去、現在と未来の名色法の因果関係を識別する時、第二観智ーー
縁摂受智(Paccayapariggha-ñāṇa)が完成したことになる。