南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#41-9

如何にして更に多くの過去世を識別するか

あなたが、上述の様に、前の一世を識知し、かつ、前の一世の五因(無明、愛、取、行と業)、及び、それらの、今生における五果(結生心(paṭisandhicitta)、名色、六処、触と受)を見ることができたならば、あなたは、同じ方法でもって、過去の二番目の生、三番目の生、四番目の生という風に、能力の許す限り、多くの生を識別する必要がある。

もし、過去生または未来世は、梵天界にいるならば、あなたは、三処(眼処、耳処と心処)しか見えない。(梵天界は)人類または欲界天の六処とは異なるのである。

如何にして未来を識別するか

ひとたび、この種の観智の力が育成されたならば(過去世の因と果を識別する事を通して)、あなたは、同様の方法を用いて、未来世の因と果を識別することができる。

あなたは、なお変化が発生する可能性を擁する未来を見るであろう。それは過去因と現在因という二者の果報である。あなたが、いままさに実践中の禅修行もまた、これらの因の一である。<注319>。

未来を識別しようとするのであれば、先に、現在の名色法を識知することから開始し、その後に、今生の死亡の時まで、未来に向かって識別しなければならない。

その時、業、業相または趣相が、今生において造(ナ)した所の、有る種の力として顕現する

この様にして、あなたは、未来世において生じるであろう結生名色法(paṭisandhiñāmarūpa)を識別することができる。

能力に合わせて、出来る限り、多くの未来世を見なければならない。無明が無餘に滅尽した時、これは阿羅漢道(arahattamagga)を証悟した時に発生するのであるが、それはまた同時に阿羅漢を己自ら証悟する時でもある。

引き続き、あなたは未来を識別し続けなければならない。

そして、五蘊(すなわち、名色)が、無余に滅尽するのを見た時、それはすなわち、阿羅漢の生命の終焉であり、あなたが般涅槃する時である。

この様に、あなたは無明が滅尽した為に、名色法が滅尽するのを見ることができる。

あなたは、諸法(dhamma)が滅尽に塵滅して、二度と来生がない事を見るであろう。

この種の方法でもって、過去、現在、未来の五蘊、及びそれらの間の因果関係を識別する。これがすなわち、我々が言う所の、第五法である。

これは、シャーリプトラ尊者が指導したものである。

識別が完成したならば、あなたは、仏陀の教えた第一法を学ぶことができる。

表3a:生死輪廻の中の縁起<注321>》

上記<表3a>は、<菩提樹文庫>管理人様に作成して頂き、<菩提樹文庫>PDF版において、挿入、公開します。当ブログでは表が作成できないため。

第一法

縁起(paṭiccasamuppāda)第一法<注325>は、時間の順序に従って、三世を貫く(状況を識別する)。

それは、過去生の因、すなわち、無明と行から始まり、それらは、今生の果を造る:

果報識(結生識から始まる)<注326>、愛、取、有、未来世を造る生、老、死及びすべての、各種の痛苦。

あなたは、煩悩輪転の中において、無明、愛と取を見つけて、それが、如何にして業輪転を引き起こしたかを、及び業輪転の中の業力が、如何にして結生の時、及び生命の存続の期間の五蘊を生じせしめるかを、観照しなければならない。

以上は、如何にして第五法と第一法に基づいて、縁起を識別するのか、という簡単な説明である。

まだ色々多くの細かい説明が必要であるが、あなたは、一人の、資格のある老師(指導者)に従って、禅修行の時に、それらを学んだ頂きたい。

あなたが完全に、過去、現在と未来の名色法の因果関係を識別する時、第二観智ーー

縁摂受智(Paccayapariggha-ñāṇa)が完成したことになる。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>