Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳『親知実見』#43-10

燃灯仏の時代、我々の釈迦牟尼菩薩は、善慧隠者といい、一人の凡夫(puthujjana)であった。

シッダッタ太子となった時、彼が証悟する前は、已然として、一人の凡夫であった;

唯一、証悟した後になって初めて、彼は釈迦牟尼仏になることが出来た。

一切知智と相応する所の、阿羅漢道を証悟して後、彼は、彼の阿羅漢道を改変することはできない、これが正性定律(sammattaniyāma)である。

ここで言う正性定律とは、阿羅漢道の結果は、改変できない、という事を指している。

このことは、阿羅漢道が恒常である、という事を意味しない。それは、その様な結果が生じるのは、一種の、改変できない業力である、という事を意味しているのである。

これは、具体的には、何を指しているのか?

それは、阿羅漢道は、必ずや、阿羅漢果を生じせしめ、かつ、一切の煩悩、一切の不善業と一切の善業を断じ除くことを意味している。

そうでないならば、般涅槃の後、それらの実が結果してしまう。

この種の業果の法則を、正性定律と言い、それは改変できないものなのである。

故に、正性定律と授記は、無常の法則に違反しない(ことが分かる)。

ここで、更に説明を加える。

発願したり、願望したりするだけでは、一切知智を証悟することは、出来ない。

菩薩が授記を獲得する時、同時に、8項目の条件が具備されていなければならない。

その上、授記に頼っただけでは、仏果を得ることは出来ない。

授記を獲得した後、彼らは、引き続き、三つのレベルの、10種類のハラミツを蓄積しなければならない:

1)10種類の普通ハラミツ(pāramī)<注340>:

彼らの子女、妻と外在の財物を布施する。

2)10種類の中等ハラミツ(upapāramī):

彼らの肢体と器官の布施。たとえば、目とか手とか。

3)10の究極ハラミツ(paramatthapāramī):

彼らの生命を布施する。

合計、30種類のハラミツがある。我々は、それえらを以下の様に帰納することができる;

1)布施(dāna)。

2)持戒(sīla)。

3)禅の修習(bhāvana):止と観(サマタ・vipassanā)。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>