南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』45-14

如何にして10種類の汚垢(汚れ、汚染)を克服するか

この段階において、あなたが、これらの方法に基づいて修行し、かつ、観智が益々強くなる時、10種類の汚垢(汚れ、汚染、dasa upakkilesa)が生起する可能性がある。

それらは:<注379>

1)光明(obhāsa)。

2)智(ñāṇa)。

3)喜(pīti)。

4)軽安(passaddhi)。

5)楽(sukha)。

6)勝解(adhimokkha)。

7)策励(paggaha)。

8)現起(現象)(念)(upaṭṭhāna)。

9)捨(upekkhā)。

10)欲(nikanti)。

光明と欲を除いて、その他の汚れは、みな、善の法に属し、それ自身は、汚垢ではない。しかし、それらは、不善法の所縁に成り得る(あなたはそれらに執着するかもしれない)。

これが、それらが、「汚垢」と呼ばれる原因である。

もし、あなたが、この10種類の汚垢のどれかを体験したならば、それらの無常・苦・無我を観照することを通して、生じるかも知れない執着と貪欲を克服するべきである。

この様にして初めて、あなたは引き続き、前進することができる。

如何にして壊滅智を育成するか

生滅智を育成した後、あなたは、諸行法の観智に対して、すでに、堅固で純粋であるが故に、次には、壊滅智(Bhaṅga-ñāṇa)を育成する必要がある。

ここまでは、あなたは、ただ諸行法の刹那滅(vaya)と壊滅(bhaṅga)をのみ専注すればよく、行法の生起(uppāda)、行法の住立(ṭhiti)、個別の行法の相(nimitta)を、または行法の因縁転起(pavatta)を見る必要はなかった。

観智の力を借りて、あなたは、諸行法の壊滅をのみ観照し、かつ、それらの無常・苦・無我を覚知する。

1)諸行法の衰壊、敗落と壊滅を観照して、それらの無常を知見する;

2)諸行法が、持続的に壊滅する恐怖を観照して、それらを苦として知見する;

3)諸行法の中において、永恒なる実質はないことを観照して、無我を知見する。

あなたは、名色法の壊滅を無常・苦・無我として観照するだけでなく、また、この様に観ずることのできる観の修習心の壊滅をも、観照しなければならない。

この事は、あなたが先ほど、色法の壊滅を観照し、かつ、それを無常として了知したが、これは、一番目の観の修習心に相当する、ということを意味している。

次に、二番目の観の修習心を用いて、一番目の観の修習心の壊滅を観照し、かつ、それもまた無常であると、了知する。

同様の方法を用いて、名法を感じ、その後に、色法と名法をば、観照して、それらを苦・無我常と了知する。

あなたは、何度も繰り返して、これらの練習を実践しなければならない。内外交替し、過去、現在と未来の色法と名法、因行法と果行法を観照する。

この種の方式に基づいて、持続的に諸行法の壊滅・尽滅、止息を識別する。あなたのその強くて力のある観智は、順序に従って前進して行き、次の六種類の観智へと続いて行く。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>