南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#47-6

次に、アングリマーラ尊者の物語について、考えてみる。

彼は出家して比庫になる前は、一人の悪名紛々で有名な殺人犯であった。

しかし、比庫になった後、彼は己自身の戒行を清浄にして、かつ、禅の修行の精進し、阿羅漢にを証悟する事ができた。

また、以下の事実を思惟して頂きたい:生死輪廻の中において、一人ひとりの人間は、みな、善き事も悪い事もなしていて、悪事を働いたことのない者はいない。<注396>

しかし、彼らが、禅修行の期間において、己自身の戒行を清浄にすることができるならば、それ以前の悪行は彼らのジャーナの証得の障礙になることはない。

当然、前提として、彼らは、かつて、五無間業(anantariyakamma)<注397>のどれをも成していない事。五無間業とは:

1)母殺し。

2)父殺し。

3)阿羅漢殺し。

4)悪心によって、仏陀に出血させる。

5)サンガを分裂せしめる。

もし、ある人が、以前に、これらの悪行のどれか一種類をなしているならば、彼は、ジャーナ、道と果を証得することはできない。

例えば、未生怨王(Ajātasattu)。未生怨王は、充分なハラミツを持っていて、《沙門果経》(Sāmañña-phala Sutta)<注398>を聞き終わった後に、入流者になることができたが、しかし、彼は己自身の父親ビンビサーラ王を殺したことによって、如何なる果位も証悟することができなかった。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>