問7-19:仏陀は、かつて、比庫に「蛇呪」を教えました。
「蛇呪」を誦念する事と、慈しみの修行は同じでしょうか?呪を念じることは、仏教に入り込んできた、婆羅門教の伝統ではないですか?
答7-19:呪とは何か?
「蛇呪」とは何か?
我々は、呪が、インド教(婆羅門教)から伝承されてきたものかどうかは、知らない。
しかし、上座部の経典の中に、護衛経(paritta Sutta)としての、《蘊護衛》(khandha Paritta)<注415>というのがある。
仏陀は、比庫たちに対して、この護衛経を、毎日念誦する様に教えた。一条の戒律(Vibaya)が以下の様に規定されている。もし、林野に住む比庫または比庫尼は、毎日、この護衛経を少なくとも一回念誦しないのであれば、すなわち、彼または彼女は戒を犯したことになる、と。
仏陀ご在世の時代、ある時、一人の、森林に住む比庫が、毒蛇にかまれて死んだ。このことが因と縁になり、仏陀は《蘊護衛》(Khandha Paritta)を教導した。
この護衛経の目的は、慈心の修習と似ている。この經文は、異なる方式によって、異なる類型の蛇または龍に対して、慈愛を散布するものであるが、その中には、三宝、仏陀と阿羅漢の功徳に関する真実語が含まれる。
今夜、我々はこの護衛経を念誦する。それは非常に強くて力のあるものである。あなたは、それを「蛇呪」と呼んでもよい。名称自体は重要ではなく、あなたは、己自身の好みに応じて、何と呼んでも問題はない。
ミャンマーでは、ある種の比庫は、この護衛経を用いて、毒蛇に咬まれた人を治療するが、その結果は非常に有効である。
彼らは、この護衛経を何度も念誦し、その後に毒蛇に咬まれた人に、護衛水を飲ませる。その時、彼らの体内にあった蛇毒は、徐々に消える。
彼らは、通常は、健康を取り戻すことができる。
ただし、効果は、人によって異なる。
仏陀が、この護衛経を教導したのは、比庫が毒蛇に咬まれて傷付かない様にするためである。もし、比庫が、敬虔な気持ちで、この護衛経を念誦し、かつ、蛇類を含む一切の衆生に慈愛を散布するならば、彼は、危険に遭遇することがない。
もし、彼が、その上、戒律を受持するならば、彼は、通常、傷害に会う事も無い。