第九講 最も殊勝な布施
(施主、主催者及び支援者への随喜の法話)<注426>
はじめに
二種類の布施がある:
1)大果報を齎す布施
2)果報を齎さない布施
あなたは、どちらが良いですか?
仏陀が、その弟子(sāvaka)に対して、その教法の中において、布施に関して、どの様な期待をしていたか、を見てみよう。
あなたの選択は、仏陀と同じであり得るし、仏陀と異なることも有り得る。
仏陀の選択に関して、我々は《中部・布施分別經》(Dakkhiṇāvibhaṅga Sutta)を見てみようと思う。
ある時、仏陀は、釈迦国のカピラワットゥー城のガジュマル園にいた。
その時、マハーパジャーパティゴータミー(Mahāpajāpatigotamī)が、一対の新しい布を持って、仏陀の所へ来た。
「尊者。この一対の新しい布は、私が、バカワトの為に、己自ら紡ぎ、己自ら織ったものです。
尊者、バカワトの私への憐憫により、これを受け取ってください」
「ゴータミー、サンガに布施しなさい!
あなたがサンガに布施をする時、私とサンガを敬った事になります」
彼女は、三度同じ事を言って布施することを求めましたが、仏陀は三度、同じ言葉でもって、回答した。
アーナンダ尊者は、仏陀に言う:
「尊者、マハーパジャーパティゴータミーの持ってきた、この新しい布を受け取って下さい!
尊者、マハーパジャーパティゴータミーは、バガワトを色々支えてきました。彼女はあなたの叔母であり、養母であり、保母であり、乳母であり、バガワトの生母が亡くなった時、彼女があなたに、乳を与えたのです。
仏陀もまた、マハーパジャーパティゴータミーに多く支援しました。
尊者、マハーパジャーパティゴータミーはバガワトによって、仏に帰依し、法に帰依し、サンガに帰依しました。
尊者、マハーパジャパティゴータミーは、バガワトによって、殺生を離れ、不与取を離れ、欲邪行を離れ、虚妄語を離れ、酒類等の放逸の因から離れました。
尊者、マハーパジャパティゴータミーは、バガワトによって、仏に対して、不動の浄信を具足し、法に対して、不動の浄信を具足し、サンガに対して、不動の浄信を具足し、聖者の喜ぶ戒を具足しています。
尊者、マハーパジャパティゴータミーは、バガワトによって、苦に対して疑いがなく、苦の集に対して疑いがなく、苦の滅に対して疑いがなく、苦の滅に向かう道に疑いがない。
尊者、バガワトは、マハーパジャパティゴータミーに対しても、多くの支えがあります。」
師長(指導者)の弟子への恩徳
仏陀は以下の様に回答した:
「まさにその通りである。アーナンダよ。
アーナンダ、もし、弟子が師長によって、仏に帰依し、法に帰依し、サンガに帰依するならば、アーナンダ、私は言う。
この弟子は、礼拝、立って迎える事、合掌、恭敬行、衣、食べ物、座臥処、病人の必要としている医薬品と資具の提供を行う事を通しても、師長の恩徳に報いる事は難しい、と。
アーナンダ、もし、弟子が、師長によって、殺生を離れ、不取与を離れ、欲邪行を離れ、虚妄語を離れ、酒類等の放逸の因から離れたならば、アーナンダ、私は言う。
この弟子は、礼拝、立って迎える事、合掌、恭敬行、衣、食べ物、座臥処、病人の必要としている医薬品と資具の提供を行う事を通しても、師長の恩徳に報いる事は難しい、と。
アーナンダ、もし弟子が、師長によって、仏に対して、法に対して、サンガに対して不動の浄信を具足し、聖者の喜ぶ戒を具足するならば、アーナンダ、私は言う。
この弟子は、礼拝、立って迎える事、合掌、恭敬行、衣、食べ物、座臥処、病人の必要としている医薬品と資具の提供を行う事を通しても、師長の恩徳に報いるのは難しい、と。
アーナンダ、もし、弟子が、師長によって、苦に対して疑いがなく、苦の集に対して疑いがなく、苦の滅に対して疑いがなく、苦の滅に向かう道に対して疑いがない時、アーナンダ、私は言う。
この弟子は、礼拝、立って迎える事、合掌、恭敬行、衣、食べ物、座臥処、病人の必要としている医薬品と資具の提供を行う事を通しても、師長の恩徳に報いるのは難しい、と。」