山口県のある市町村で、コロナ給付金の463人分を、ある一人の青年の銀行口座に全額(4630万円)送付してしまいました(それ以前に、すでに別途<10万円×463人分>を、各世帯に振り込んであったのですから、役場の痛恨のミスですね)。
役場は、二週間待ちましたが、彼が返還に応じなかったために、大変な問題になっています。
普通は、4630万円もの大金が理由もなく、自分の口座に振り込まれたなら、吃驚するか、恐くなるかで、急ぎ返却の申し出をする、と思いますが、この青年は違いました。
インターネット上で行われているギャンブル(カジノ)に手を出し、全額すったのか、またはコインの形で残しているのか・・・真相は本人しか分かりませんが・・・今、彼の通帳には6万円ほどしか、残っていないそうです。
上に、【誤入金なんて、普通はすぐに返却するものだ】と書きましたが、でもそれは、そういう体験をしたことのない人間の《ほんわか性善説》であって、一旦、<濡れ手に粟の金子> を見てしまうと、人間、心変わりは絶対しない、という保証はない(注1)。
仏教では少欲知足をいいます。
特に出家者は、最低限の四資具(衣類、食事、住まい、薬)が手に入れば、それで十分満足して、修行に励まねばならないという教えがある訳ですが、この世の栄耀栄華、贅沢三昧は、一瞬の事。
それよりも、輪廻している己の実存の恐ろしさに目を向けて、無常・苦・無我・涅槃を知る方が、何倍も、何百万倍も重要。
涅槃の定義は、常、楽、無我、浄で、その楽しさは変わる事がない(常)、と言われます。
涅槃への道を示す仏陀の教えは『無価』、すなわち値段がつけられない、4630万円積んでも買えない、という訳です。
青年が、少しでも仏教を学んでいたなら・・・残念ですね。
(注1)お金と異性が、人を狂わせる事を知っていた仏陀は、不偸盗と不邪淫を、戒律の筆頭に挙げています。
(上記文章は、事件発生から5月20日までの、主にインターネット上のニュース・情報を参考に記述しました。)
<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/
Paññādhika Sayalay 般若精舎>