Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

「四煩悩を断つ」(「断除四煩悩」翻訳文)―23

二、正しい心性の確立

堅持すべき心性

1.信

現在を掌握できなければ、永遠もないーー

仏法に対して、深く確信する事。

あなたはこの世界が無常であり、意のままにならないもの

(苦)である事を、深く理解する必要がある。ここはシャバ

世界であり、耳にここちよい話をする人は少なく、あなたを

支えたいと思う人などおらず、大部分の人々は、あなたの足を

引っ張るばかりである。

利害関係があって、衝突が起きないならばましな方で、一旦

利害関係に衝突が起こったならば、父親だろうが、母親だろう

が、兄弟姉妹、親友など、皆、手のひらを返す。

その掌を返す速度は、本をめくる速度より早い。ここはシャバ

世界であって、極楽世界などでなく、故に、利害関係の為に、

親類縁者が互いに、顔も見たくない関係に陥るのは、珍しい事

ではない。

現在を掌握できなければ、永遠もない。

どうしてか?

永遠とは、現在の、一つ一つの動点の連続だから、である。

現在を掌握できないのであれば、あなたに未来は、ない。

現在の命は、一切の命より勝っている。所謂「手の中の一羽

の鳥は、空中の二羽の鳥より勝る」のである。

あなたが掌握できるのは今日、今、ここだけだ。故に、心の

中で「五年後にはどうして、こうして・・・」などと、

そろばんをはじいてはならない。

五年後、あなたは火葬場にいて、すでに灰と化している

かもしれない。

あなた方は、若くして亡くなった人を見たことがないか?

当然、あるだろう。年若い者でも、いつ死ぬかも知れない。

他人の亡くなるのを見て、自分もそうなるかも知れないと、

警戒心を持ち、仏法を深く信じて疑うことなく、しっかり

仏陀のダンマを学ぶのが肝要である。

仏教への誤解ーー

昔の人は仏教を誤解して、神道道教を仏教と混同・誤認

していた。民間信仰の占いや口寄せ等を、仏教だと誤解し

ていたのである。

事実は、仏教とこれら民間信仰とは、まったく関係がない。

仏教は殺生をしない、占いや口寄せをしない、清らかな

僧団であり、哲学的で、(思想、実践に)卓越した団体で

ある。(中略)

仏教は派手なパフォーマンスを好まず、平凡を旨とし、

日常行っているのは読経、礼拝で、仏陀のダンマ、

人生哲学などが、法話の対象である。

その目的は、衆生を悟り(覚醒)の領域に導き、仏法への

理解を進め、仏法への確信を深める事にある。

(仏教は)仏法への確信の確立以外、なすべきものは

何もない。(つづく)

      (台湾高雄文殊講堂慧律法師著

       翻訳文 Pañña-adhika sayalay)