南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-26)(私家版)

16-17 身練達性(kāya-paguññatā)と 心練達性(citta-paguññatā) この二種類の練達性のそれぞれの特徴は、心所と心が、健全である事。作用は、心所と心の病疾を取り除く事。 信心(=仏法への確信・信頼)がない時、心は病気になりやすく、仏法を聞きたいと…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-25)(私家版) 

14-15 身適業性(kāya-kammaññatā)と 心適業性(citta-kammaññatā) この二種類の適業性の、それぞれの特徴は、心所と心の不適業性、すなわち、心が操作しにくいという(問題)を取り除くものである。 作用は、心と心所の不適業性の打破。 現起(現象)は、…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-24)(私家版)

12-13 身柔軟性(kāya-mudutā)と 心柔軟性(citta-mudutā) この二種類の柔軟(性)のそれぞれの特徴は、心と心所の硬直性を取り除く事。 ひとたび、邪見または我慢(我有りという傲慢心・以下同様)が生起すると、心全体は硬直してしまう。 私の叔母が以下…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-23)(私家版)

10-11 身軽快性(kāya-lahutā)と 心軽快性(citta-lahutā) この二種類の軽快性のそれぞれの特徴は、心と心所の沈重い(暗く沈む事)を除去する事。 禅修行を実践する時、もし、心が沈重であると感じるならば、それは必ず昏沈(が原因)である。 昏沈の時、…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-22)(私家版)

8-9 身軽安(kāyapassaddhi)と 心軽安(citta-passaddhi) 身軽安は、相応する心所の事を指す。色法ではない。それは、相応する所の心所の軽安を言うのである; 心軽安は、心王の軽安を言う。 禅修行の時、もし、掉挙、悪作、後悔が出現したならば、(心・…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-21)(私家版)

7、中捨性(tatramajjhattatā) 心の平衡、バランスを言う。 受蘊の中の「捨受」ではない。 中捨性の特徴は、心と心所を、バランスする事。 作用は、(心・心所の)過多または不足(の状態)を防止する、または偏向を除去する事。 現起(現象)は、心と心所…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-20)(私家版)

6、無瞋(adosa) 無瞋には、慈愛が含まれる。特徴は粗野でない事、または対抗しない事。まさに、友好的な善き友の様に、目標に対して、粗野でない事。 作用は、怨恨の排除または怒りの火の除去。 たとえば、誰かに対して怒った時、あなたは念(思い)を一転…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-19)(私家版)

5、無貪(alobha) 特徴は、心が貪欲に欲求しない事、または目標に執着しない事。ちょうど、水滴が、蓮の葉に粘着しないが如くに。水滴は、一瞬蓮の葉の上に乗っても、即刻、葉から、すべり落ちる。まったく執着、執取する事が無い。 これが、不貪の特徴であ…

般若の独り言~やはり野に置け

今朝、えびす丸の散歩の途中、里道に <ほたる袋> が咲いていましたので、一茎摘んできました。 一茎で、12輪も花がついています(未開花の極小蕾も含む)。 野の花を、つい摘んで、精舎に持って帰ってしまうのは、やはり《所有欲》のせいですね。 高度成長…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-13)(私家版)

棍棒や武器でもって、攻撃する以外に、多くの殺生の方法がある: 落とし穴を掘る、罠を仕掛ける、 毒薬、呪術、脅し、相互に戦わせる、 自殺を唆す、堕胎薬を提供する、 自殺願望者の傍に毒薬を置いて自殺を誘因する、 拳銃を自殺願望者の傍において、自殺を…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-12)(私家版)

殺したいという心をもって、色々と実行したものの、動物が死亡しなかった場合、不犯。 殺したいという心をもって、動物に打撃を与えた所(すぐには死なないで)、その動物が、それが原因で、何年か後に死亡した場合、打撃を与えた時点からすでに、破戒が成立…

般若の独り言~地獄への道

西洋のことわざに <地獄への道は、善意で舗装されている> というのがあるそうです。 以下、私の反省。 私は最近鋭意、精舎の整理整頓、断捨離をしていて、その一環として、古布を1cm幅のリボン状に裂いて、裂き織のマットを作っていることは、何度かお話し…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-11)(私家版)

土を掘っている等の状況の下、そこに動物がいる事を知らないでいた、また、殺すつもりはなかった時、すなわち、不犯; 動物をそこから去らせるために、驚かしたもので、動物を殺そうとは思っていないながら、しかし、その攻撃によって、誤って動物が死亡した…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-10)(私家版)

以下の状況下では、不犯である: たとえ、殺したいという心が存したとしても、殺した対象が、(息をしている所の)生命ではない時、不犯である。道を歩いていて、誤って、昆虫を踏んで殺した、または(車の運転をしていて)動物を轢いてしまった時、他のもの…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-9)(私家版)

以下の五か条を具足する(満たす)ならば、殺生が成立する: 1、生命である事 2、それが生命であると知っている事 3、殺すという心が存する事 4、実施する事 5、それが殺されて、(実際に)死ぬこと。 (19-10につづく) <願以此法布施功徳、早日証得涅…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-8)(私家版)

如来は、サーマネラの10戒を制定した。 詳細は以下の通り: 一、殺生を離れる学処(pāṇātipātā veramaṇī) 殺生を離れる学処とは、すなわち、殺生をしない、殺生を除く、という戒条であり、己自身が、謀り事をし、生命を殺害する事、及び己自身が計画し、他…

禅病と任脈

私のブログ《Sayalay's Dhamma book》を、 iphoneで開いて、画面最下部を見ますと、 《注目記事》という項目があります。 ここに、理由はよく分かりませんが、 2020年7月4日UPの【禅病を超えて】という、 私の禅病闘病記が、いつもいつも、一番トップにきて…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-7)(私家版)

非時の食事を離れる(午後に食事をしない); 歌舞、歌唱、音楽、演劇を見たり聞いたりする事から離れる; 装飾(着飾る)事、おしゃれの因となる花飾りを冠り、香水をつける、お香を塗るなどを離れる; 高くて、大きいベッドから離れる; 金銀(金銭)の授…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-6)(私家版)

”比丘たちよ。 私は、サーマネラに10種類の学処を許す。 サーマネラは、これらを学ばなければならない: 殺生を離れる事; 与えられないものを取らない事から離れる(偸盗しない); 非梵行を離れる(梵行でない行為から離れる); 虚言妄語を離れる(嘘をつ…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-5)(私家版)

mālāgandha-vilepana-dhāraṇa-maṇḍana- vibhūsanaṭṭhāna veramaṇi uccāsayana-mahāsayanā veramaṇī jāta-rūpa-rajata-paṭiggahaṇā veramaṇī Anujānāmi bhikkhave、 sāmaṇerānaṃ imāni dasa sikkhāpadāni、 imesu ca sāmaṇerehi sikkhitun'ti .”” (19-6につ…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-4)(私家版)

surā-meraya-majja-pamādaṭṭhānā veramaṇī vikālabhojanā veramaṇī nacca-gīta-vādita-visūka-dassanā veramaṇī (つづく)

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-3)(私家版)

”Anujānāmi、bhikkhave、 sāmaṇerānaṃ dasa sikkhāpadāni、 tesu ca sāmaṇerehi sikkhituṃ. pāṇātipatā veramaṇī adinnādānā veramaṇī abrahmacariyā veramaṇī musāvādā veramaṇī つづく ”

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-2)(私家版)

《律之瓔珞疏(Vinayālaṅkāra-ṭīkā)》は以下の様に言う: ”Sukka vissaṭṭhi ādi lokavajja sikkhāpadesu ca sāmaṇerahi vattitabbaṃ” ”故意に、出精(注0)するなどの、世間的罪学処においては、サーマネラもまた、これを実行しなければならない。” これに…

般若の独り言~初めての電動草刈り機

先日、注文してあった<充電式電動草刈り機>が、宅配便で届きました。 さっそく、取説を見ながら組み立てます。 一人暮らしをして11年。 色々な器械、道具を一人で組み立てる様になって、何度も失敗しながら、最近、ようやく、少々、こつが分かってきました…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(19-1)(私家版)

サーマネラ(注1)十戒 サーマネラの戒律は、 10戒、 10種類の滅擯事(pārājika)、 10種類の処罰事(dasa daṇḍakammavatthu)、 75の衆学法(sekkhiyā) と幾つかの義務によって構成されている。 注1=パーリ語表記は、sāmaṇera。 (19-2につづく) <願以此…

般若の独り言~慙・愧と慈・悲

本日、《実用アビダンマ》(7-18)を翻訳していまして、以下の事を思いました。 日本語で、<慙愧>(例えば慙愧に堪えない等)と一言で言われてる語彙は、本来は、<慙>と<愧>の二つに分かれる語彙で、意味もそれぞれ異なります。 同じく、仏教徒であれ…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-18)(私家版)

故に、仏陀は「慙と愧」は世間的な護法である、と言う。この二者がなければ、世間は混乱の向かってしまう。 人類は、慙愧があるが故に、狼や犬の様に、性的な関係性の紊乱を齎す事がない。 ただ、今日の世情下、時代が変化している中において、我々出家者が…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-17)(私家版)

仏陀は、慙と愧は、世間的な(一般的な世の中の)護法である、という。 仏陀は《増支経・行為経》の中において以下の様に言う: 「比丘たちよ。二種類の法があって、それが世間を保護している。 どの様な二種類であるか? 慙と愧である。 比丘たちよ。 もし…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-16)(私家版)

以下のたとえ話は慙と愧の本質を同時に説明する事ができる。 一本の鉄の棒の端には、糞便が塗りつけてある。 そのもう一つの端は、火の中で燃やして、真っ赤になっている。 ある人は、糞便の部分を掴みたくない。彼は糞便が嫌いであるし、己自身が汚染される…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(7-15)(私家版)

4、愧(ottappa) 特徴は、悪行によって齎される果報に対して、恐れを感じる事。たとえば、自分で自分を責める、他人による譴責、社会的譴責、法律上の罰則、残された後に(後々に影響する所の)業:今生の業、来世の業、無尽業。 これらの、悪行が齎す果報…