Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

翻訳『親知実見』#20-6

(答1-3の続き) 一個の心路の中には、四種類の密集があるが、それは観智でもって、看破しなければならない:<注107>。 1)相続密集(santati ghana):心理現象は、一個の相続して不断の密集した構成の全体である様に見える為に、人々は、同一の「心」が目…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #20‐5

(答1‐3の続き) 如何にして、物質現象の密集を看破するのか?まず先に、あなたは色聚(微細な粒子)を識別しなければならない。そして、次には、異なる色聚を分析して、かつそれらの異なる色法の構成を見る。 一粒毎の色聚の中には、少なくとも8種類の色法…

般若の独り言~密集を看破

私が、パオ・セヤドーの著作を翻訳していて、 『恰好いいなぁ』(ちょっとミーハー要素ありです~笑) と思う所は、昨日のブログ「涅槃とは何か」でも書きました《涅槃とは心、心所、心生色法の滅尽》という、涅槃に関する諸々の記述と、 本日翻訳しました<…

翻訳『親知実見』#20-4

(答1-3の続き) 2)構成密集(samūha ghana):物質現象は、一見した所、構成された全体という風に見えるが故に、人々は、色聚(kalāpa)を究極色法であると思いなし、またこれこそが、彼の「自我」である、と思ってしまう。 この種の錯覚を打ち破るために、…

翻訳『親知実見』#20-3

(答1-3の続き) 1)相続密集(santati ghana):物質的現象は、一個の、不断に相続する、密集した全体物として見えるが故に、人々は、己自身の身体、四肢は、実際に存在しているのだと思ってしまい、かつ、同一の自我が異なった形式でもって(この)一生か…

翻訳『親知実見』#20-2

問1-2 禅修行の時、必ず禅相(nimitta)は必要でしょうか? 答1-2 ある種の業処(kammaṭṭhāna)、例えば入出息念、十遍、十不浄(Asubha)には、禅相は必要である。もし、その他の業処を修したい場合、例えば仏随念(Bhddhānussati)には、禅相は必要ない。 …

般若の独り言~涅槃とは何か

コロナ禍で外出が制限されて、国内外のリトリートに参加できない状況が続きます。 そんな中で、パオ・セヤドーの著作『親知実見』Knowing and Seeing (「如実知見」の改訂版)を入手しましたので、翻訳する事にしました(1か月で50ページくらい進みます、合…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #20-1

問答(一) 問1-1: 入出息念を修行する時、四つの段階があります。 我々は、一つの段階から次の段階に行くのを、どの様に決定すればよいですか? 答1-1: 仏陀は、入出息念の順序はーー長息、短息、全息、微息がある、と教えたが、これは修行者の理解を助け…

翻訳『親知実見』#19-2

<注87>= 自性相(sabhāva-lakkhaṇa):究極色法または究極名法が具備する特徴の一種。各自特相(paccatta-lakkhaṇa)とも言う; 共相(sāmañña-lakkhaṇa):すべての行法(色法または名法)が共に擁する三種類の特徴:無常、苦、無我。 <注88>=《清浄…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #19-1

<#19>シリーズは、中国語原文<P 61~P 90>の脚注の翻訳です。 <注83>=パーリ語術語に関しては<付録二 パーリ語術語解説>を参照の事。 <注84>=Visuddhimagga《清浄之道》は、注63参照の事。(Visuddhimaggaの直訳は「清浄之道」である。水野弘元…

翻訳『親知実見』#18-8

この段階において、すなわち、禅相が生起する前、かつ定力が四種類のジャーナを修習するにつれて強化される時、呼吸は徐々に、増々平静になり、第四禅において、完全に停止する。 この四種類のジャーナはまた、色界ジャーナ(rūpavacara-jhāna)と呼ぶが、そ…

翻訳『親知実見』#18-7

あなたが(第二禅の成就に)成功した後で、かつ、第三禅の修習を希望する時、熟練した第二禅から出定して、その欠点及び第三禅の長所を思惟しなければならない: 第二禅は、尋・伺というふたつの劣った禅支を擁する初禅に近く、かつ、第二禅もまた劣悪な喜<…

翻訳『親知実見』#18-6

あなたは初禅に習熟した後であれば、第二禅に進む様チャレンジすることができる。 あなたは、すでに熟練したであろう初禅に入り、出定した後、それの欠点と第二禅の長所を思惟する; 初禅は、五蓋に近く、その尋・伺の禅支もまた粗くて劣っているため、無尋…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #18-5

諸々の禅支は、全体を合わせてジャーナと呼ぶ。 ジャーナの修習を始めたばかりの頃、長時間ジャーナに入れる様練習するべきで、禅支の識別にあまり時間を割いてはならい。あなたは、ジャーナ自在(vasībhāva)の練習もしなければならない。 五つの自在がある…

翻訳『親知実見』#18-4

「表1a:禅定心路」に関する説明 ●禅定(jhāna)心路の順序: 1)意門転向心:禅修行業処の似相を所縁に取る。 2-4)予作、近行、随順という、この三つの予作速行は、同一の所縁を縁に取るが、それらの尋・伺・喜・楽・一境性は、普通の欲界心より更に強い。…

翻訳『親知実見』#18-3

表1a:禅定心路(jhānasamāpaṭṭivīthi)<注96> ★表1a★(hatena版では省略) (<菩提樹文庫>PDF版にて挿入、公開) [私(翻訳者)が利用する<hatena>の画面では作表が出来ない為、当該の表(表1a)は、後日、<菩提樹文庫>管理人様に作成して頂き、<菩…

翻訳『親知実見』#18-2

如何にしてジャーナを証得するか 信、精進、念、定、慧という、この五根が充分に育成された時、定力は近行定を超えて、ジャーナーー安止定に到達することができる。 ジャーナに到達する時、あなたの心は不断に似相を覚知する事ができるが、それは数時間また…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #18-1

如何にして七覚支をバランスするか もし、入出息念でもってジャーナを成就したいのであれば、七覚支(bojjhaṅga)をバランスする事もまた、非常に重要である。 それらは: 1)念(sati):忘れない事、似相を識知しつづける事; 2)択法(dhammavicaya):似相…

翻訳『親知実見』#17-8

故に、念は常に適用される。ちょうど、塩がすべての料理に適用される様に、または、総理が国家の大事のすべてを処理するのに適している様に。 故に、古代の義注では、跋葛瓦の話を引用して以下の様に言う: 「念はどの様な業処にも適合する。」 なぜであるか…

般若の独り言~清貧と孤高

子供の時に、日本の、大乗系の仏教書をよく読みました。 禅宗系の僧侶の行跡は、清貧と孤高な雰囲気が伝わってきます、一休宗純さんとか、良寛さんとか。 親鸞さんも孤高な感じですが、その子孫は、なかなか賑やかです。 東南アジアの原始仏教ーーテーラワー…

翻訳『親知実見』#17-7

観の修行者にとって、慧が強い事は、非常に良い事だ。というのも、唯一、充分に強力な智慧を擁する者だけが、無常・苦・無我の三相を徹底的に透視する事ができるが故に。 定と慧がバランスしている時にのみ、世間ジャーナ(lokiyajjhāna)は生起することがで…

翻訳『親知実見』#17-6

次に、もし、定が強くて、精進が弱い時、この人は、怠惰になってしまう。例えば、禅修行者の定力が向上した時、彼は、リラックスした気楽な気持ちで入出息似相に専注する様になって、それを明確に覚知する事がない為に、怠惰になる可能性がある。 この様な状…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #17-5

信根と慧根、定根と精進根のバランスを取る事は、智者の讃嘆する所である。 もし、信が強く、慧が弱い場合、この人は、無用な、または意義の無い事柄を信じる様になる、例えば、正統な仏教以外の宗教が崇拝する所の対象、すなわち、守護霊とか保護神などを敬…

般若の独り言~仏教は信仰?

昨夜、久々に、大阪の姉と、電話で雑談しました。 私 「コロナでどこにも行けず、 暇なので、仏教書の翻訳を再開しました」 姉 「それって、無料のご奉仕なの? あなたは仏教を信仰しているから、できるのよね」 私 「(・・・いえいえ、信仰ではないです)…

翻訳『親知実見』#17-4

もし、精進根が強すぎる時、その他の信、念、定、慧の諸々の根が、勝解(決定)、確立、散乱の防止及び洞察力の育成という、各種の作用を実行する事ができない。故に、過度の精進は、心をして平静に、似相に専注する事をできなくしてしまう。 ソーナ(Soṇa K…

翻訳『親知実見』#17-3

しかしながら、若し、禅修行者の信心(=確信、以下同様)が過剰に強い時――ここで言うのは、似相の修習に対する信心であるがーーその場合、彼の定力は却って、弱まるのである。 行き過ぎた確信は、強すぎる喜(pīti)を伴っており、故に、感情的な波を引き起…

翻訳『親知実見』#17-2

例えば、ある禅修行者が、以下の様に考えたとする: 「ただ入息と出息に注意を払うだけで、ジャーナを証得する事ができるのだろうか?取相が白いコットンボールの様で、似相は透明な氷またはガラスの様だと言うのは、本当だろうか?」 この様な考えを長く続…

翻訳『親知実見』knowing and Seeing#17-1

如何にして五根をバランスするか 有分に落ち込むのを避ける為、また定力を更に一歩進んで育成する為、あなたは五根(pañcindriyā)の助けを借りて、心を策励して、それを似相に固定せしめなければならない。 この五根とは: 1)信(saddhā) 2)精進(vīriya…

翻訳『親知実見』#16-7

あなたは、心をして平静である様にし、白色の取相に専注する事、一時間、二時間、または三時間または更に長く・・・。もし、あなたが、この様に、あなたの心を取相の上に一時間または二時間、固定し続ける事が出来たならば、それは清らかに、明るく、光耀く…

翻訳『親知実見』#16-6

もし、禅相が、あなたの面前の遠い所でしか出現しないのであれば、今は、その事を気にしない様にする。 というのも、それは消失するかも知れないが故に。 もし、あなたがそれに対して、知らぬふりをして、単純に接触点上の息に専注するならば、禅相は近くに…