Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

翻訳『親知実見』#31-8

問3-3:どの様な条件の下でならば、我々は、ある種の禅修行の体験が近行定であるとか、安止定であるとか、言えるのでしょうか? 答3-3:入定している期間において、なお、多くの有分が生起する時、これは近行定である、と言えるが、しかし、その禅相は、必ず…

翻訳『親知実見』#31-7

「一無所知」を涅槃として誤認するという、この問題は、更に多くの説明を必要とするかも知れない。 涅槃は「離諸行」(visaṅkhāra)である。 諸行(saṅkhārā)は、すなわち、名色法及びその因であり、涅槃とは、すなわち、それらの不存在である。涅槃を了知…

翻訳『親知実見』#31-6

もし、禅修行者が有分を涅槃としてとらえるならば、この観念は、彼が涅槃への道に進むのを阻む「巨石」となる。もし、この巨石を取り除かないのであれば、彼は涅槃を証悟することができない。 何故、この種の観念が生じるのか? 非常に多くの禅修行者は、弟…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing#31-5

問3-2:近行定と安止定の違いは何でしょうか? 答3-2:似相が出現した時、定力は非常に強い。 しかし、この段階では、いまだ尚、近行定の段階に属しており、禅支はいまだ完全には展開しえておらず、有分(bhavaṅga)は依然として発生して、禅修行者は有分に落…

翻訳『親知実見』#31-4

3)似相:定力が相当に強く安定し、更に力の強いものに変化した時、取相は、似相に変化する。似相は通常、明けの明星の様に清らかで、明亮(明瞭)で、燦然としている。上の場合も同様で、心想が変化する時、禅相も変化する。 定力が強くて力のある様に変っ…

般若の独り言~コロナ・ワクチン

今朝一番で、近くのクリニックへ。 特に体調が悪い訳ではないのですが、庭仕事で肩を痛めたので、湿布薬と、風邪予防としての葛根湯を貰っておこうと思いまして。 そこで、医師: 「4月末に通知が行くから、コロナ・ワクチン打ちましょう」 私「甲殻類に、ア…

翻訳『親知実見』#31-3

我々は、前回の法話の中において、三種類の禅相すなわち、 予備相(parikamma-nimitta)、 取相(uggaha-nimitta)、 似相(paṭibhāga-nimitt) について、解説した。 1)予備相:自然の呼吸は、禅相の一種であり、接触点も禅相の一種である。 ここでいう禅…

翻訳『親知実見』#31-2

三種類の修習とは: 1)予作(予備)修習(parikammma-bhāvanā) 2)近行修習(upacāra-bhāvanā) 3)安止修習(appanā-bhāvanā) 予備定の所縁は、予備相、取相で、偶に似相である事もある。予備修習とは、予備定の事である。 真正の近行定と真正の近行修習…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #31-1

問答(三) 問3-1:入出息念には三種類の禅相があります: 予作相(予備相、以下同様)、取相、似相です。 予備相とは何ですか?予備相とは、必ず灰色 ですか?予備相と取相の間には、どの様な違いがありますか? 答3-1:入出息念には、三種類の禅相(nimit…

翻訳『親知実見』#30-1

<#30-1>シリーズは、中国語原文<P 141~P158>の、脚注の翻訳です。 <注133>=この点に関しては、問答2-2、P126参照の事。 <注134>=この記述は、禅修行者が、実際に、己自身が決意した範囲内のすべての女性、男性、天人等などが見える、という事を意…

翻訳『親知実見』#29-25

<PCの調子が悪いため、翻訳文UPが滞る事があります> 止を修する利益 法話を終える前に、我々は、止と観の間の関係性を簡潔に説明したいと思う。 仏陀は《相応部・蘊品・定経》(Samādhi Sutta)<注140>の中において、以下の様に言う: 「比庫たちよ。 定…

翻訳『親知実見』#29-24

<PCの調子が悪いため、翻訳文UPが滞る事があります> 結び 上に述べた様に、慈心の修習、仏随念、不浄の修習、死随念、というこの四種類の業処は、四護衛禅または四護衛業処と呼ぶ。というのも、それらは禅修行者が種々の危険に遭うのを防ぐことができるが…

翻訳『親知実見』#29-23

<PCの調子が悪いため、翻訳文UPが滞ることがあります。あしからず。> 如何にして死随念を修習するか 三番目の護衛禅は、死随念(maraṇānussati)である。 《大念処經》(Mahāsatipaṭṭhāna Sutta)<注137>と《清浄之道》<注138>によると、死随念もまた…

翻訳『親知実見』#29-22(155/446)

如何にして不浄を修習するか 二番目の護衛禅は、死体に対して不浄(asubha-bhāvanā)を修習するものである。 不浄を修習する為に、あなたは再度入出息または白遍第四禅に入り、禅定の光をして、輝かせ、明晰にする。その後に、当該の光を運用して、あなたの…

翻訳『親知実見』#29-21

仏随念を修習したいのであれば、あなたは、上に述べた5つの項目を、空で言えるほど覚えておかねばならない。その後に、再度入出息または白遍第四禅に入り、禅定の光を輝かせ、清らかなものにする。 この光明を運用して、あなたが覚えている所の、一尊の好ま…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #29-20

我々は、一番目の功徳(Arahaṃーー阿羅漢)を例にとって、如何にして定力を育成するかについて研究する。 《清浄之道》(Visuddhimagga)によると、パーリ語のArahaṃ(阿羅漢)には5種類の含意がある: 1)彼はすでに、すべての煩悩と習気を無余に断じ除いて…

翻訳『親知実見』#29-19

この段の経典の意味は以下の通りである: 1)このバガワトは、すでに一切の煩悩を断じ除いており、尊敬に値する; Arahaṃーー阿羅漢である。 2)彼は師無くして、己自ら一人で、正覚を円満証悟した: Sammāsambuddhoーー正自覚者。 3)彼は智慧と徳行の円満…

翻訳『親知実見』#29-18

如何にして仏随念を修習するか 経典の中において、常々提起される所の、仏陀の9種類の功徳を思惟する事を通して、仏随念(Buddhānussati)<注135>を修習する事が出来る。 ”Iti’ pi so Bhagavā [1]Arahaṃ、 [2]sammāsambuddho、 [3]vijjācaraṇasampa…

翻訳『親知実見』#29-17

如何にして四護衛禅を修習するか 慈心の修習、仏随念、不浄の修習及び、死随念という、この四種類の禅修の業処は、「四護衛禅」または「四護衛業処」という。 それらは、禅修行者を、種々の危険から守ってくれるが故に、更に一歩進んで観禅(vipassanā)の修…

翻訳『親知実見』#29-16

如何にして捨を修するか 捨梵住(upekkhā)を修習する為に、あなたは、先に白遍を復習して、第四禅に入り、その後に、一人の中立的な、生きている同性の人物を選び、彼に対して、慈、悲、喜を修行して、それぞれの種類ごとに、第三禅に到達する様にする。 第…

般若の独り言~無我(縁起)を知る

先日、ama●●nで、ユング心理学の本を探していました所、世に 『反応しない練習』 という題の啓発本が出版されていて、この本を読んだ人の(否定的な)コメントが公開されていましたので、このコメントから連想した所の、感想を書いてみます(当該の著書は購…

般若の独り言~うららの春

今朝、精舎は、それなりに寒かったので、冬の恰好で外出しましたら、まぁ、外は暖かい事・・・春うらら。 写真(上)は、精舎の近くに聳えたつ<コブシ>と、冬毛の散髪を終えたオハナ君(下)。 <緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay…

般若の独り言~仏教国とは何か?

今、緬甸(ミャンマー)は、軍部のクーデターにより、 動乱の中にあります。 緬甸は仏教国なのに、これは一体どういう事なのか? と首をかしげている人も、いるかと思います。 私は、若いころから、原始仏教を学ぶ為に、度々、タイと緬甸を訪れていますが、…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #29-15

如何にして喜を修するか 喜梵住(muditā)を修習する為に、あなたは、一人の、生きていている、楽しげな感じのする、同性を選択する。 それは、一たび会えば楽しく、好ましく、友好的な人物である。 白遍を利用して、再度第四禅を復習し、禅定の光を輝かしい…

翻訳『親知実見』#29-14

如何にして悲を修習するか あなたが、すでに、先ほど述べた方法によって、慈心を育成した後であれば、悲梵住を修習する事は、決して難しいことではない。 憐憫の心を修習する為に、あなたは、先に、一人の、まさに苦を受けている、生きている同性を選び、彼…

般若の独り言~緬甸の混乱

今朝起きまして、最初にPCを立ち上げまして、ニュースを読みました。 昨日、緬甸(ミャンマー)では、軍部がデモ隊に発砲して、38人が死亡した、との事。(これまでの死者合計数は126人) 被弾し、傷付いた人々の写真も載っていましたが、その中のお一人が、…

翻訳『親知実見』#29-13

如何にして十方遍満を修習するか 十方遍満慈心は、前に述べた、48種類の方式を成就した後、それを運用して、十の方向のそれぞれ、一つひとつの方向に慈心を遍満させるものである。 あなたは、東方に存在する無辺の宇宙の全ての衆生を(実際に)見ることがで…

翻訳『親知実見』#29-12

如何にして無限界と有限界慈心遍満を修習するか この種の慈愛の放散(散布)の仕方を修行する為に、上に述べた様に、あなたは、白遍によって第四禅を復習して、定に入らなければならない。 その後、己自身に、尊敬する人、親愛な人、中立的な人、嫌いな人に…

翻訳『親知実見』#29-11

22種類の遍満 《無礙解道》は、22種類の慈愛を遍満させる方法を提案している: 五種類の無限界遍満(anodhiso pharaṇā) 、 七種類の有限界遍満(odhiso pharaṇā)と 10方遍満(disā pharaṇā)。 五種類の無限界遍満とは; 1)一切の有情(sabbe sattā) 2)…

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing#29-10

あなたは、再度、入出息念または白遍第四禅を復習し、(定に)入らなければならない。 強くて力のある、かつ燦々と輝く光明を通して、約一分間、己自身に対して慈愛を散布し、その後に、好ましい人、次に、中立的な人、嫌いな人に、慈愛を散布して、第三禅に…