南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#31-3

我々は、前回の法話の中において、三種類の禅相すなわち、

予備相(parikamma-nimitta)、

取相(uggaha-nimitta)、

似相paṭibhāga-nimitt)

について、解説した。

1)予備相:自然の呼吸は、禅相の一種であり、接触点も禅相の一種である。

ここでいう禅相とは、定の修習の為の所縁の事である。

義注では、鼻相(nāsika-nimitta)と上唇相(mukha-nimitta)は、初心者の予備相である、と言う。

定力が少しばかり強化された時、鼻孔の出口灰色の煙状のものが出現するが、この灰色もものも予備相である。それは、他の色彩であることもある。

予備相の段階の定力と修行レベルは、予備定と予備修習である。

2)取相:予備定が向上して、強くて力のあるものになった後、灰色の煙状のものは、通常、綿花の様な、白いものに変化するが、しかし、それは、心想の変化に伴ってその他の色彩に変化することもある。

心想が変化した時、禅相の色彩と形状もまた、経変化する可能性がある。<注143>。

もし、色彩と形状が変化したならば、定力は徐々に降下していく。これは、禅修行者の心想に変化のある時、彼の所縁もまた、不断に変化するのが原因であるが、それは、彼が異なる所縁に注意を払っている状態(が発生しているという事)を意味している。

故に、禅修行者は、禅相の色彩と形状に注意を払ってはならず、ただ、ひたすら入出息禅相にのみ、専注するべきである。

取相に専注する定力と、その修行は、已然として、予備定及び予備修習に属する。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>