Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~2-5

上記のように、正念の保持に努め、常々、ひと時でも息に安んじる事のできる人は、引き続きそのように正念を保持し続け、正念を持続する時間を、一分から二分、次には5分、10分、半時間乃至一時間以上、徐々に伸ばしていけばよい。 依然として妄想が紛々とし…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法眼」(翻訳文)~2-4

禅の修行者は、まるで傍観者の如くに、息の自然な様を、静かに鑑賞するだけでよく、それに干渉してはならない。 息は、時には粗く、時には細く、時には長く、時には短く、時には各種の異なる状態を呈する。 これらは皆、自然な現象である。 修行者は、ただ正…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~2-3

次に、心をリラックスさせて、自分が座禅・瞑想しているのだという気持ちを、持たないようにする。そして、自分は、心と身体を休息させているのだ、と思うようにする。 一時的に、一切の負担を下に降ろし、心の中の一切の心配事を、一時的に放り出し、紛々と…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~2-2

《清浄道論》は記述する: 「すべての仏、ある種のパーチェカ仏と声聞弟子にとって、成就を獲得するか、または今ここにおける楽住のための法門の中で、安般念は最も重要である。」 (+私が)これらの話を引用するのは、みなさんにこの法門への信頼と確信を…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~2-1

上座部仏法(Theravāda)によると、禅の修行の法門は、大きく分けて二種類になる。 それは、止禅と観禅である。 止禅は、定力を育成する修行方法で、観禅は、智慧を育成する修行方法である。 この二種類の法門における相互の関係は、非常に密接であるーー止…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~1-6

<穴の開いた軛> 「比丘たちよ。もし、この大地が、大きな水池になるとして、そして、ある人が、真ん中に穴の開いた軛を、そこへ投げ入れたとする。 東風が吹いて、それは西へと向かい、西風が吹いて、それは東へと向かう;北風が吹いて、それは南へと向か…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~1-5

心と身の苦受を、内受と言う。 というのも、それらの自性・名称は、苦痛(+と関係があるから。原文、意味不明の為、試訳)。 この三種類の受は、異なる名称を持っているが、それらは皆、苦である。 というのも:「無常なるものは、すなわち、苦である」と言…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~1-4

もしも、禅の修行者が、世間聖道、すなわち観智であるが、それを育成し、それが熟した時、観智の末端において、涅槃を知見する出世間聖道が生起する。 出世間八聖道分を証悟するとき、それらは、諸々の煩悩を、徐々に、余すところなく尽滅する。 観智を育成…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~1-3

これらの話から鑑みて、比丘が長期に亘る生死輪廻から解脱したいと考えるならば、彼は、四聖諦を徹底的に知るよう、尽力しなければならない(+事が分かる)。 今回の(+台湾における)リトリートにおいて、私は、《転法輪経》及び、その他の経典に基づいて…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~1-2

「比丘たちよ。あれら沙門または婆羅門は 『これは苦である』という事を如実に知る事がない; 『これが苦の集である』という事を如実に知る事がない; 『これが苦の滅である』という事を如実に知る事がない; 『これが苦の滅に導く道である』という事を如実…

是誰庵のひとやすみ~「顕正法蔵」翻訳開始

以前に、皆様に翻訳のお約束をしました 「仏教キホンのキ」(原題:「你認識仏教嗎?」)は、 ただいま、参考文献として、希望者に貸し出しております。 手元に戻り次第、翻訳を開始します。 並行して、パオ・セヤドー講述の「顕正法蔵」を翻訳します(本日…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~1-1

<自序> 四聖諦を知るために、尽力しなければならない。 『比丘たちよ。まさに、四聖諦を知らないが為に、四聖諦を徹底的に見る事がないが為に、あなたと私は、長い間ずっと、輪廻の中で流転し、徘徊してきた。(+四聖諦とは、)どの四つか? 比丘たちよ。…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213‐11(最終回)

<観禅> 究極名色法と縁起を分析した後、あなたは、次に、観禅の修習に進み(+修習が成功したならば)、それらを無常・苦・無我として観照することができる。 しかし、あなたがいまだ究極名色法と縁起を分析していない前には、あなたは、観禅の修習はでき…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213‐10

<如何にして未来を識別するのか> 過去世の因果を識別することを通して、観智の力を育成した後、あなたは、また、同様の方法で、来世の因果を識別することができる。 あなたは、今後において、変化するであろう未来を見ることができるが、それは、過去と現…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213‐9

<実例> 更に明確に理解を進めるため、私は、実際にあった例をあげて、禅の修行者が、どのような現象を識別できるのか、を説明する。 ある一人の女性の修行者が、前世の臨終時の名色法に専注し、かつ追跡調査しているとき、彼女は一人の女性が、果物で以て…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213-8

<如何にして縁起を識別するのか> 今、あなたは一番目の観智を証得した。 それはすなわち、分別智である。 この智を証得した後、あなたは、縁起の修習に進むことができる。 すなわち、名色法の因を分析することである。 あなたに、今世の、この生を受けさせ…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213-7

あなたは、先に、この三種類の中の、最も顕著な一種類を識別し、次に、一つ毎の、初禅の速行心刹那の中において、それを識別する。 その後に、あなたはその他の、一種類ごとの名法を、一回ごとに一つづつ増やすようにして、識別しなければならない。 始めた…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213‐6

<如何にしてジャーナ心路過程を識別するのか> もし、あなたが、安般念またはその他の法門によって、ジャーナに到達することができるならば、名法を識別する最もよい方法の起点は、ジャーナと相応する心と心所を識別することである。 このようにすることに…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213-5

<如何にして名法を分析するか> まず最初に、《アビダンマ論 Abhidhamma》の基本原則を、簡単に説明する。 もし、名業処を理解したいのであれば、先にそれらの原則を、知らなければならない。 《アビダンマ論》の中においては、名(名法;精神)は、対象を…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213-4

<如何にして、色聚の分析をするか> 色聚には、二種類ある。 すなわち、明浄(透明)色聚と非明浄(不透明)色聚である。 浄色(pasāda-rūpa)(五浄色の中のどれか一種類)を含む色聚だけが明浄で、その他の色聚は非明浄である。 先に、個別の明浄と非明浄…

是誰庵のひとやすみ~『無我』、菩提樹文庫で公開!!

翻訳本ご講読の皆様へ: 過日、<菩提樹文庫>様よりご連絡があり、私が翻訳して、当ブログで公開した、タイのブッダダーサ尊者の著書『無我』の日本語版が、<菩提樹文庫>にて、近日中に公開されるようになりました(現在、鋭意、校正中)。 公開されまし…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213-3

全身の、頭から足までの、その12種類の特徴を識別できるようになったならば、あなたは、前に述べたように、観察の順序を地・水・火・風に変更して、引き続き、再三再四、それらを識別するべきである。 このような順序で、頭から足まで、そのそれぞれの特徴を…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213-2

如何にして四界分別観を修行するのか もし、四界分別観を修行するのであれば、あなたは先に、全身において、逐一、四界の12種類の特徴、または性質を、識別しなければならない。 一、地界:硬さ、粗さ、重さ、軟らかさ、滑らかさ、軽さ。 二、水界:流動性、…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~213-1

<仏教は人類にどのような 利益を齎し得るか(三)> 今日、私は、どのようにして、四界分別観及び各種の色法の分析から始めて、観禅の修行を行うのか、を説明をする。 禅の修行者にとって、観禅には、二種類の道筋がある。 第一番目の道は、先に止禅(たと…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-14

一、願わくばこの善き人に、危害がありませんように(ayaṁ sappuriso avero hotu); 二、願わくばこの善き人に、精神的苦痛がありませんように(ayaṁ sappuriso abyāpajjo hotu); 三、願わくばこの善き人に、身体的苦痛がありませんように(ayaṁ sappuris…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-13

敬愛する人に慈愛を散布する もし、あなたが、安般念または白遍を修行して、第四禅に到達することができたならば、あなたは、当該の定力を更に発展させて、あなたの心をして、明るく輝く光芒を放射できるようにする。 白遍によって到達した第四禅は、特にこ…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(9)

<お葬式とお墓> タイで在家の主婦が癌で亡くなった時、そのお葬式に参加したことがあります。 斎場兼火葬場に集まった皆さん、全然深刻でなくて、泣いている人はいません。大人はちょっと地味目の普段着、子供たちはパーティで着るようなピンクや黄色のド…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(8)

<檀家の話> 檀家(ダンカ)は、パーリ語のダーナ(お布施)が、なまったものだそうです。 インドにおいて、定期的にお寺にお布施をするセレブ、サンガの大保護者の、その呼び名が、ダーナをよくする人→ダンオツ→漢訳で檀家(ダンカ)と変化していったので…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(7)

<森林寺院の一日> 私は30歳を過ぎたころからタイ(後にビルマでも)で仏教を学び、少しではありますが、修行もしました。 この両方の国で、私は、森林寺院にお世話になりました(何の偶然か、タイではビルマ国境近くのスナンタ森林寺院にお世話になり、ビ…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-12

もし、慈心観(慈梵住)を修行したいのであれば、まず先に、下記の二種類の人間を対象にして、修行してはならないことを、理解しなければならない。 一、異性の人(liṅgavisabhhāga); 二、すでに死んだ人(kālakata-puggala)。 初めて修行を開始する段階…