Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-11

<白遍> 32身分(=32の身体部分)の修習を成功させたならば、あなたは簡単に、白遍を修習することができる。 もし、白遍の修行をするのであれば、まず先にあなたは、再度、安般念の修習をして、第四禅に到達するべきである。 禅定によって生じる光が光り輝…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文) ~212‐10

<三十二身分(=32の身体部分)> もし、あなたが32身分を修習したいと考えるならば、まず先に、あなたは、安般念の第四禅に到達しておかねばならない。 禅定の光が、光り輝き、明るく、光芒が四方を照射する時、この光の支援の下、あなたは、身体の32の部…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-9

それらは、個別に分けて考えれば、禅支と称するが、しかし、全体的には、ジャーナと称する。ジャーナの修行を始めたばかりの時、あなたは、長時間ジャーナに入っているように練習するべきであり、あまり多くの時間を禅支(jhānaṅga)の識別に費やしてはなら…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-8

ジャーナについて 信、精進、念、定、慧の5根が十分に育成された時、定力は近行定を超えて、安止定に到達する。ジャーナに到達した時、心は、持続的に絶え間なく似相を覚知し続ける。この状況は、数時間、または一晩、一昼夜続くことがある。 心が持続的に、…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(6)

<テーラワーダと大乗仏教の違い> テーラワーダはタイ、ミャンマー、スリランカ、ラオスなどに広がる仏教で、またの名を、上座部仏教、南伝仏教、また初期仏教、原始仏教等と言われ、仏陀の教えをなるべく変形しないよう気を付けながら、その教えを、古のま…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(5)

<テーラワーダに宗派はあるか?> 私が日本で「緬甸で出家して尼僧になりました」と言うと、ほとんどの人が「で、宗派は何?」と尋ねます。 テーラワーダには日本で言うような<宗派>は、ありません(厳密な意味で分類すれば、あるかもしれません。修行方…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(4)

今日は<森林寺院の一日、特に托鉢について>です。 仏陀ご在世の時、出家者は皆、四つの生活必需品を、在家から布施で以て、頂戴して来る形になっていました。 それは、食べ物、衣類(三衣)、薬と住居の四つです。 今でも、テーラワーダでは、食べ物と薬は…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-7

もし、禅相があなたの顔から遠く離れた所に出現した時、それに注意を払ってはならない。 というのも、それは消失する可能性があるから。もし、それに注意を払わないでいて、接触点を通過する息に対して、引き続き、ただただ専注することだけを実践するならば…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-6

このこと(=安般念の修行)を成功させたいのであるならば、あなたは、息が静かになるようにと決意しなければならない。 そして、その後に、一回ごとの呼吸の、その最初から、その最後までに、不断に専注すること。 あなたは、何らかの方法を用いて、息を静…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(3)

次は戒と律の話です。 テーラワーダの比丘は、227の戒と律を守ります。 戒と律は、それぞれ性質が異なります。 戒は、してはならない、という禁止事項。 律は、こうしましょう、ああしましょうという 実践事項、という訳です。 タイの僧侶、アーチャン・K に…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-5

ここでは、仏陀は、あなたに、継続的に呼吸の全体、その最初から最後までの息(全息;息の全身、すなわち、息の全体)を覚知するよう指示している。 あなたは己の心を、訓練しなければならない。(+そのために)継続して、不断に、一回呼吸するたびに、息の…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212‐4

この段階において、あなたは、出入りする息の長短に対する覚知を、育成する必要がある。 ここでいう長短とは、寸法の長い短いを言うのではなくて、時間の長さを言う。 あなたは、どれくらいの時間なら「長い」といい、どこれくらい時間なら「短い」というの…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(2)

<なぜテーラワーダには、 比丘尼がいないのか?> テーラワーダ(南伝仏教)には、男性の出家者比丘はいても、女性の出家者、比丘尼はいません。 これは、仏陀ご在世の時代のインドの女性差別が、遠因になっています。 仏陀は、女性差別の激しいインドの状…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(1)

<普通のおばさん、Sayalay(尼僧)になるの巻> 15年前、タイから日本に帰る途中台湾に寄った所、年若い女性からパオ・セヤドーの中国語の著書「智慧之光」(後に日本語に翻訳して「智慧の光」)を頂き、その内容に衝撃を受けました。 これを翻訳したいと、熱…

是誰庵のひとやすみ~失眠と安般念

昨日、所用で、近所の知人宅へお邪魔しました。 半年前、ご主人が脳溢血で倒れ、その介護の最中、今度は、奥さんが癌を発症し、手術。 そんな訳で、奥さん、元気がありません。 奥さんが「(病気が心配、いずれ残していく子供世帯が心配で)真夜中に目がさえ…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-3

自相(sabhāva-lakkhaṇa自性相)、共相(sāmañña-lakkhaṇa)または禅相(nimitta)の色彩に注意を払ってはいけない。 自相とは、息の中の四界の個別の自然的な特徴で、それはすなわち:硬さ、粗さ、流動性、支持性、推進性などである。 共相は、息の無常(an…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-2

修行を始めるに当たり、まずは、快適な姿勢で座り、その後に、鼻孔を経由して身体に出入りしている息(呼吸時の鼻息)を覚知するようにチャレンジする; あなたは、鼻のちょうど下側(人中=中国でいう経絡の名)、または鼻孔の出口の周囲の、そのどこかで、…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~212-1★

<仏教は人類にどのような 利益を齎し得るか(二)> 昨夜、私は、仏教は人類のために、人間界と天界において、楽しみを齎すと説明した。 今夜、私は、定の育成と心清浄の修習について語るべきだと考える。 なぜ、定を育成しなければならないのか? 仏陀は言…

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(初めに)

昨日、大分大学白菊会(献体組織)の総会兼慰霊祭に出たところ、私の尼僧姿を見て興味津々の方がおられました。 私が「私は緬甸で出家した尼僧です」と自己紹介すると、その方、少し戸惑っておられました。 日本では、出家僧侶といっても、実質は、お寺に生…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-12

「ここにおいて、学生、男性または女性が殺生を断じ、殺生から遠く離れ、こん棒と武器を捨て(+たとする): 彼は温和で、慈しみあり、一切の衆生に憐憫の心を持つ。彼はこの種の業を実践するが故に、身体が分解し、死亡した後、彼は善趣に生まれ変わり、天…

是誰庵のひとやすみ~白菊会

今日は朝から、大分大学白菊会の総会、兼、慰霊祭に行ってきました。 私は子供の時は体が弱く、よくお医者さんの世話になりましたから、恩返しにと、随分若いときに、献体の申し込みをしておいたものです。 東京から Y盆地に引っ越してきて、すぐ大分大学白…

是誰庵のひとやすみ~正月の鬱

これは、「後 2か月半で正月が来る、憂鬱だな~」という話ではありません(笑)。 実は、去年の年末から今年の正月にかけて、本物の「鬱」になって、そして、それを自分で治した話。デワデワ。 去年の年末、私は台湾のリトリートから帰ってきたばかりで、非…

是誰庵のひとやすみ~タイからの電話

本日、昼前、タイから電話がありました。 アーチャン・チャー(遷化)の本山、ウボン・ラチャタニにあるワット・パー・ポン(グ)で雨安居を過ごしていた Z比丘からです。 Z比丘「雨安居終わりました~~、お元気ですか~~」 私「元気ですよ。四か月もご苦…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-11

故に、もし真正に、己自身を大切にするのであれば、あなた方は、仏陀の認めた方法で実践しなければならない。それは《法句経》偈157に書かれている: もし人が、己自身を愛惜することを 目指すのであるならば、 己自身を、しっかりと守らなければならない。 …

是誰庵のひとやすみ~タイでは有名人

私 私はタイではちょっとした有名人です。いえ、別に有名になりたいという願望は、これっぽっちも持っていません。世界の70億人に、自分の名前を覚えてもらい称賛されたとて、どうせ死にますからね、己自身も、残りの69億99999999人も。何より、「八風吹不動…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-10

(ある時)パセーナディ王は、世尊に言った: 「世尊、私が一人で休憩しているとき、私は考えた:『誰が自分自身を一番大切に思っているか?誰が自分自身を大切にしていないか?』と。世尊、その時私はこう思った:『身口意において悪行を行う人は、自分自身…

是誰庵のひとやすみ~己が己の教師

タイの修行僧アーチャン・マンの自伝を読んでいたら、「己は己の教師」という言葉に出会いました。 仏陀の時代、まだアビダルマは完成していなかっただろう(伝説では、仏陀が天界で説法したのがアビダルマで、それは非常に難しかったので、シャーリプトラだ…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-9

もし、あなた方が、本当に喜びを得たいのであれば、あなた方は、仏陀の教えに従って生活しなければならない。 このようにして初めて、あなた方は、仏陀の言葉から利益を得ることができ、そのことによって、喜びを感じることができる。 しかしながら、多くの…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-8

この経で、仏陀は続けて言う: 「非常に長い時間かかった後に、智者が人間界に戻ると、彼は高貴な家庭、たとえば、豊かな貴族、豊かな婆羅門または豊かな居士の家に生まれる。その家は裕福で、巨大な富があり、多くの財物があり、多くの金銀があり、多くの財…

是誰庵のひとやすみ~中村元博士の想い出

中村元博士(東京大学・インド哲学・名誉教授)は、生前、パーリ語の<アナッター>は、「無我ではなく、非我(と訳すべき)である」とおっしゃっていました(<無>と<我>を、どう解釈するかによると思いますが・・・インド人の発想では、<無a>は、単な…