Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-7

こうしたことから、《法句経注疏》では、地獄は愚人の真正の住かである、と言う。 彼は長期的に地獄にいて、少しの間だけ人間界に戻り、その後にまた地獄に戻る。 これが、仏陀が、なぜ<人身受け難し>と言ったのか、という理由である。 しかしながら、多く…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-6

この経では、仏陀はまた別の例を出して、愚人が悪道の中で、どのように長期的な苦しみを受けるのか、を説明している。 彼は言う: 「ある一人の人が、大海にくびきを投げ入れたとして・・・(中略)・・・盲目の亀は、その頭をくびきに入れるまでどれくらい…

パオ・セヤドー購述「菩提資糧」(翻訳文)~211-5

その後、仏陀は言葉をつづけた: 「身口意の悪行をなす愚人は、身体が分解されて死んだあと、悪道に堕ち、苦に趣き、ついには地獄に落ちる」(中略) 「比丘たちよ、大地獄とはこのようなものである: それは四角いかたちで、 四つの門があり、 それぞれに道…

是誰庵のひとやすみ~常・楽・無我・浄

中国語の仏教書を翻訳していたら、涅槃は <常・楽・無我・浄>である、と出て いました。 よく仏教徒に批判される梵我一如は <常・楽・我・浄>なのだそうです。 仏陀の教えと婆羅門教(現在のヒンズー教) では、無我(アナッター)と我(アートマン)、 …

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-4

ここで、私は《愚人と智者経》の摘要を話して、愚人はどのように己を壊滅に向かわせるか、智者はどのようにして、己の心を高めるかを説明したい。 「比丘たちよ。愚人の特徴、愚人の相、愚人の本質は三つある。どのような三つか? 愚人は悪念を思惟し、悪語…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-3

《法句経》316及び317の偈で、仏陀は言う: 恥を感じなくてよいときに恥を感じ、 恥を感じなければならないときに 恥を感じない。 このような邪見を持つ人は、 悪趣に堕ちる。 危険でないものに危険を感じ、 危険なものに危険を感じない。 このような邪見を…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-2

《相応部》の中に、こういうことが書かれている。 ある時、非常に有名な劇団の座長で、かつ俳優であった、名を達拉布達(Tālaputa)という人が、仏陀に会いに行き、仏陀にこう言った: 彼の劇団の指導者がかつて、彼に、もし俳優が架空の物語を演じて観衆を…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-1★

<仏教は人類にどのような 利益を齎しえるか(一)> 今夜の法話の題目は「仏教は人類にどのような利益を齎し得るか?」である。 なぜこのような題目を選んだのか? というのも、人が最も関心をよせる問題であるからである。 人々は皆、楽しく生きたいと願い…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~210-5

我々は、郁伽居士を模範とし、布施するときは、受け取る人のレベルを、気にしないようにするべきである。 受け取る人個人に、なんらの感情をもってはならない。そして、心をサンガ全体に向けて、行っている布施が、聖潔なサンガ施であるように、実践する。 …

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~210-4

尊者よ、もし私が、世尊より先に死んだとして、そして世尊が:『郁伽居士は欲界の輪廻を引き起こす五つの結を完全に取り除いたアナーガミである』と言うならば、それは別に驚くべきことではない。たとえ仏陀が言わなくても、私はすでに己自身がアナーガミに…

是誰庵のひとやすみ~メビウスの輪

最近ずっと、<メビウスの輪>について考えている。考えるというより、どちらかというと、それについて、感じているだけなのだけれど(私の頭は、あまり論理的にできていないので)。 仏陀は、世界の始まり(宇宙の端っこ?)を探してみたけれど、見つけるこ…

パオ・セヤドー購述「菩提資糧」(翻訳文)~210-3

尊者よ、私には四人の妻がいます。 私は家に帰ると、私は彼女たちに言いました:『私はすでに不淫戒を持するという願を発した。あなた方は、ここに残りたければ残ってよいし、随意に私の財産を使って善行をなしてよい; 実家に帰りたい人は帰ってもよく; 他…

是誰庵のひとやすみ~婆子焼庵

禅の公案に<婆子焼庵>というのがある。 内容は、ある一人のお婆さんが、一人の僧侶を自分の家の離れにおいてあげて、色々世話をして修行の手伝いをしてあげていたが、長年の修行がうまくいっているかどうか試した所、不合格で、老婆は、その離れを焼いてし…

是誰庵のひとやすみ~へぼい詩一つ

<虹の戦争> 昔、谷の合間に湖を持つ国があった そこでは毎日、虹が立った 彼らは七色に光る虹を見ながら 幸せを感じていたが ある時、隣の国では 光に色はない と言っているのを 聞いたので 本当のことを知りたいと思いなし 寝食を忘れて 洞窟にこもった …

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~210-2

ある時、世尊が伐地国の象村にいたとき、世尊は、比丘たちに言った: 「比丘たちよ。あなたたちは、象村の郁伽居士を、八種類の奇妙な素質を有する人だと、見做しなさい」と。 このように簡潔に言うと、仏陀はそれよりは詳しく話すことなく、寺院の中に入っ…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~210-1

<郁伽居士の八種類の奇妙な素質> 《法句経》偈354: Sabbadānaṁ dhammadānaṁ jināti. Sabbaṁ rasaṁ dhammaraso jināti. sabbaṁ ratiṁ dhammaratī jināti. taṇhakkhayo sabbadukkham jināti. 一切の布施の中で、法施が最も殊勝である; 一切の味の中で…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-209

問6-16: もし一人(+の青年)が、比丘戒を受けたとき、いまだ20歳未満であって、しかし、彼はそれが如法でないことを知らないでいて、しかも、彼は受戒後、非常に厳格に戒を持していました。こういう場合、彼は本当の比丘と言えますか? 答6-16: 彼は本当…

是誰庵のひとやすみ~お詫び(コメント欄の閉鎖)

私は中国語の仏教書、主に緬甸のパオ・セヤドーの著書(台湾で出版)を日本語に翻訳して、当ブログで公開しています。 また、気の向いたときに、仏教をあまり知らない、でも少々興味があるらしい、年来の知人を念頭に、ちょっとした生活の一コマ、一口話を書…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-208

問6-13: 初果ソータパナを証悟した聖者は、結婚して子供を産んだりしますか? 答6-13: はい。 例えば、毘舎去、給孤独長者等、仏陀の時代、Kosala の国には7000万人の人口があったが、その中の500万人は聖者を証していたものの、 彼らの大部分は妻をめとっ…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-207

問6-9: 北伝の仏教では、仏陀が般涅槃した後であっても、依然として神通力で以て、無数の応化身を変現して、引き続き衆生を救度しているのだ、といいます。禅師はどのように考えますか? 答6-9: 南伝では、以下のような経がある: 有る時、一人の婆羅門が仏…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-206

問6-8: 仏陀は「心、仏、衆生の三(+者)に差別なし」と言いました。それならば、なぜ、仏陀は一番の最初から、すべての弟子に、仏となるよう発願を促し、人々は平等である事、仏陀とかパーチェカ仏とか、阿羅漢とかの区別はないのだと、教えなかったので…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-205

問6-5: 至上願(abhinīhāra)を発しようとする人は、 先に、8項の条件を備えていなければなりません。 その中の2項目は、男性として生まれることです。 仏陀も、女性は仏になることはできないと 言いました。しかし、ヤソーダラは、2万億尊 の仏の面前で、…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-204★

問6-3: 北伝の仏教では、菩薩には52の階位がある、と言います。 南伝仏教では、このような階位はありますか? 答6-3: 南伝仏教では、菩薩に階位は、ない。 菩薩は智者ではあるが、彼らの間には階級の差別はない。 問6-4: 菩薩が授記を受けるときの条件の…

是誰庵のひとやすみ~ダリット(不可触賎民)

今朝、インターネット上のニュースで、インドの不可触賎民(ダリット)が、製粉機を使ったのを教員に「けがれる」と咎められ、斧で首を切られるという事件がありました。 私の次男は写真家で、たびたびインドに行きますが、ダリットの生活は悲惨だと、よく言…

是誰庵のひとやすみ~瞑想の道具

大昔、タイの山奥で初めて瞑想を習ったときは、森の中の虫・蚊に刺されないよう、腰に蚊取り線香をぶら下げ、右手に蝋燭(電気が来ていなかったので)、左手に座蒲を持って、シズシズと移動したものです。 最近、ビルマと台湾のパオで修行しましたが、その時…

是誰庵のひとやすみ~手放す事

雨安居を利用して、イギリスから、N比丘が日本に帰国してきています(今年二度目の帰国)。 N比丘と私は、アーチャン・チャーのお弟子さんが建てたお寺の分院で知り合いました。私はたまにそこを訪れる在家で、彼は出家したばかりの、青年比丘でした。 私は…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-204

<問答六> 問6-1: 南伝の比丘は、菩薩像(たとえば、弥勒菩薩像)に礼拝または問いかけ、合掌をしますか? 答6-1: 南伝の戒律によると、比丘は在家者、女性、天神または梵天に礼拝したり、合掌することはない。弥勒菩薩が現在、一人の比丘である場合で…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-203★

問5-14: 菩薩道を行じたい人は、どのようにすれば、ただ行捨智のみ証悟し、その後、道智を証悟しないようにすることができますか? 答5-14: もし彼が、すでに授記を受けた菩薩であれば、彼が仏と成る最後の世を除いては、どのように修行に精進しても、な…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-202★

問5-12: 禅師にお訊ねします。 女性に生まれて、出家し、修行しても、今生は解脱を成就することができません。 どのようにすれば「転女成男(=女性から男性に変わる)」して、来世また修行を続けることができるのでしょうか? 慈悲をもって開示して下さい…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~201-2

シャーリプトラ尊者は思った:「私は今こそ、仏陀に会いに行くべきだ。そして、仏陀に、彼の過去世の中で行った菩薩道と波羅蜜の成就についての物語を語ってもらおう」と。 こうして、彼は常日ごろ彼に付き従っている500人の阿羅漢を召集し、彼らに宣言した…