南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-1★

  <仏教は人類にどのような

  利益を齎しえるか(一)>

 

今夜の法話の題目は「仏教は人類にどのような利益を齎し得るか?」である。

なぜこのような題目を選んだのか?

というのも、人が最も関心をよせる問題であるからである。

人々は皆、楽しく生きたいと願い、悲しみはない方がよいと思う。

しかし、あなた方の今(+の生活)は、楽しいでしょうか?

ある時、ある人が仏陀に言った。

人は皆、楽しく生きたいと思っているのに、大多数の人々は皆、不愉快な心で暮らしている。

仏陀は、それは、嫉妬と吝嗇が原因だ、と答えた。

これらの煩悩によって、多くの人々は、己のためにのみ、楽しみを追及し、他人の利益と幸福には無関心であるだけでなく、ある時には他人をひどく傷つけることもある。

しかし、正しくない方法で楽しみを追い求めるならば、それによって齎される喜悦は少ない上に、却って多くの苦痛を齎すことなる。

最も残念なの事は、彼らには、己の間違いに気が付かない事である。

これは、彼らに何が善で、何が不善であるかを分別する能力がないからである。

あなた方は、事実はそのようではなく、正常な(+意識を持つ)人は、善悪の区別はつくはずだ、と思っているに違いない。

このことについて、私はあなた方に聞いてみたい。

早朝、あなた方は新聞を持ってきて読むでしょう。それはあなた方に何を教えているだろうか?夜、仕事から家に戻ると、夕食後、座ってテレビを見る。それらは一体あなた方に、何を教えているだろうか?

この二者は、あなた方に如何にして貪欲を増長させるかを教え、この種の欲楽が如何によいものであるかとか、どの種の享受が更に美しく妙なるものであるとかを、示しているのである。そのほかに、それは、あなた方に暴力も教える。

簡単に言えば、新聞とテレビの、そのほとんどの内容は、人に、如何にして貪欲、瞋恚、痴(=無知)を増長させるかという、歪んだ道理を教えている。そして、それらの影響の下に、多くの人々は、邪道に迷い込んでいる。

しかし、我々すべての間違いをマスメディアに押し付けることはできない。というのも、それは、一般大衆の好みでもあり、見解でもあるから。

物事の良しあしは、我々の見解だけで決定することはできない。我々は、仏陀の開示した多くの経典の中から、この点を理解することができる。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(211-2につづく)。

訳者コメント:下線は訳者。仏陀の教えは非常に難しいと感じる時もありますが、嫉妬と吝嗇をやめれば人生は楽しい、というのは、分かり易いですね。実践は・・・簡単なようで難しくもあり、難しいようで簡単でもある、ですね。櫂より始めよ(笑)。

★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>まで。

ご協力、よろしくお願いいたします。

<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>