Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(3-8)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 苦滅聖諦は証悟されなければならない 苦滅聖諦とはすなわち涅槃(nibbāna)ーー五取蘊が二度と再び生起しない事とその滅尽ーーそれは己自身自らの智によって、証悟されなければならない。 このことは、禅の修行者…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(3-7)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> ”比丘たちよ。 苦集聖諦とは何か? 無明の縁によりて行あり、 行の縁ありて識あり、 識の縁ありて名色あり、 名色の縁ありて六処あり、 六処の縁ありて触あり、 触の縁ありて受あり、 受の縁ありて愛あり、 愛の…

般若の独り言~オハナ駄々をこねる

秋も深まって、毎日気持ちの良い日が続きます。 毎朝の、オハナとの散歩も楽しいです。 オハナは、佐賀の山に捨てられていた保護犬で、引き取ったばかりの時は、よく噛まれましたが(人間に対する不信感でカリカリしていた)、今はどこを触っても、ニコニコ…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(3-6)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 苦集聖諦は断じ除かれねばならない 有情は五蘊に愛着し、執着するーーこれが苦集聖諦であるーーそれは断じ除かれなければならない。 仏陀は三種類の渇愛が、五取蘊の生々流転を引き起すと述べており、それはすな…

般若の独り言~宗教的依存症

本日、WEB上のニュースを見ていましたら、先般亡くなられた樹木希林さんをモデルにした、新聞広告が出されたそうです(宝島の広告)。 一つは「地球にさようなら」というもので、もう一つは「あとは自分で」という風なもの(私は新聞を取っていないので、新…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(3‐5)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (+上で述べたように)色蘊は11種類の色法であり、受、想、行、識もまた、11種類の名法である。 それらは何故 ”取蘊” と呼ばれるのか? というのも、それらは執着される対象であるが故に。 ”取” (upādāna)に関…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(3‐4)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 苦聖諦は遍知されなければならない 仏陀は、苦聖諦は遍知されなければならないと、指導・ 教導した。 その意味は、己自身、自ら証した所の智でもって、五取蘊(pañcupādānakkhandha)を、完全に了知しなければな…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(3‐3)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 《中部・大六処経》(Mahāsalāyatanika Sutta)において、仏陀は、同様なる四つの項目に関しての、その完成されなければならない任務について、詳細に解説している。 ” 1)比丘たちよ。 どのような法が、証智に…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(3-2)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 《諦相応・転法輪経》(Dhammacakkappavattana Sutta)の中で、仏陀は、四聖諦の内のそれぞれの諦に関して、それらを証悟する所の、特定の任務を完成させなければならない、と強調している: 1)この苦聖諦は、遍…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(3-1)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 第一章 序論 我々が当該の書を著述する目的は、涅槃を証悟する為の実修に関して、簡単な説明を施す為である。 我々は《大念処経》(Mahāsatipaṭṭhāna Sutta)の最初の部分《入出息の部分》(Ānāpānapabbaṃ)につ…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-10)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 2011年2~3月、私マヒンダ比丘は、シンガポールにおいて、弘法し座禅・瞑想を教えていた所、パオ・セヤドーの委嘱を受けて、本書の正文の部分の翻訳を終えた。 6月に再びシンガポールにて《清浄道論》を講じてい…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-9)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 観智は、その浅いレベルから深いレベルに応じて、16種類を数えることができ、それを ”16観智” と呼ぶ。 最初のものから順に、名色分別智、縁摂受智、思惟智、生滅随観智といい、最後に道智、果智と省察智となるが…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-8)

<daṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> もし我々が、上記の事柄を理解したならば、《大念処経》が実際には、止・観の修習を指導・教導するものであり、かつ vipassanā に重きを置いている経典であることが分かる。 業処、パーリ語 kammaṭṭhāna は、心が…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-7)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> ”かくの如くに、或いは内身随観身によって住し、或いは外身随観身によって住し、或いは内外身随観身によって住する。 或いは身随観生起の法によって住し、或いは身随観壊滅の法によって住し、或いは身随観生起、…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-6)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> この四念処の中の身念処はまた、止(サマタ。以下同様)の修習によって、定力を育成する方法が含まれている・・・例えば入出息念、厭悪作意などである。 ただそのようであっても、それらはなお、観(vipassanā。…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-5)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 《大念処経》の中で、仏陀は合計21種類の、禅の修行の用いる業処を、教えている。 その内、身念処は14種類、受念処と心念処はそれぞれ一種類、法念処は5種類である。 それらは以下の通りである: 一、身念処 1、…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-4)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 念の行処、念の住立処とは何か? 四種類ある、すなわち 四念処(cattāro satipaṭṭhānā)である: 身念処(kāyasatipaṭṭhāna) 受念処(vedanāsatipaṭṭhāna) 心念処(cittasatipaṭṭhāna) 法念処(dhammasatipaṭṭ…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-3)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 1、念の行処、範囲を念処と言う (satigocaro satipaṭṭhānan’ti vuccati)。 2、念の住立、確立、建立、安住、依止、支持する所の処を念処と言う。 例えば ”住立はここにおいて住処である。 誰が住立するのか? …

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-2)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 当該の経の名は《大念処經》といい、その意味は、 ”念処”(+とは何かを)を教える経典という事である。 念処、パーリ語 satipaṭṭhāna は、sati と paṭṭhāna によって、構成されている。 sati とは 念であり、そ…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(2-1)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 中国語訳序説 《大念処經》(Mahāsatipaṭṭhāna Sutta)は、パーリ三蔵の《経蔵・長部》第22経と《中部》第10経に収録されている、非常に重要な経文である。 この経文の、南伝上座部仏教においての、その地位の重…

般若の独り言~『涅槃証悟の唯一の道』について

本日より、パオ・セヤドー著『涅槃証悟の唯一の道』の翻訳を始めました。 『涅槃証悟の唯一の道』について一言。 中国語版の題は「証悟涅槃的唯一之道」といいます。 パオ・セヤドーが執筆された緬甸語の当該著書は、非常なる大部です。 上記「証悟涅槃的唯…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(1‐3)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 第五章 業処の観 三種類の遍知 第一節 業処の観の第一段階 三種類の身 色業処 四界分別観簡略法 四界分別観詳細法 九種類の業生色聚 八種類の心生色聚 四種類の時節生色聚 二種類の食生色聚 四種類の相色 ”色”と…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(1-2)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 第二章 大念処經 総論 止業処 観業処 第三章 総論 第四章 止業処 第一節 入出息 ただ入息を念ずる、ただ出息を念ずる 四種類の典型的な問題 第二節 長短息 長息と短息 轆轤師の比喩 禅相 異なる種類の禅相 第三節…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(1-1)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 目次 中国語訳序説 第一章 序論 四つの完成させるべき任務 遍知するべき苦聖諦 断じ除くべき苦集聖諦 証悟するべき苦滅聖諦 修習するべき苦の滅に導く道聖諦 四つの任務(法随観法ーー四聖諦) 止と観は修習され…

般若の独り言~べき論を超えて

若い頃の私は、正義感が強くて、<べき論>が好きでした。 男性ならこうあるべき、女性ならこうあるべき。 ただし、フェミニストでしたから、女性の地位向上を目指しての<べき論>でしたけれど。そして、当然、仏教徒ならこうあるべき、という<べき論>も…

般若の独り言~予告

先般、8月10日をもって、翻訳ワークを終えたことを、お伝えしました。 色々な仏教書を、次から次へと翻訳していると、自分の修行が進まないので、暫く修行に専念しようと思いまして。 でもですね、今日、本棚を見ていましたら、パオ・セヤドーの『涅槃証悟の…

般若の独り言~<緬甸>が光る

では次に、10歳の時の、不思議な光の体験話。 私は、台湾から移民してきた父母の下に生まれた在日台湾人ですから、小学校に上がる時に、親が大変に悩みました。 自宅の目の前にある日本の小学校に行かせるか、JR(当時は国鉄)に乗って3駅、子供の足で20分ほ…

般若の独り言~5歳の発心

私の初発心は、5歳の時です。 この話は、以前、ブログに書きましたので、今回は簡単に。 私の父は、台湾が日本の植民地だった時に、船に乗って神戸に来ました。当時の父の国籍は日本な訳でして、ちょうど、今、沖縄の人が本土に来るのと同じ感覚で、パスポー…

般若の独り言~3歳の輪廻

皆さんは、輪廻の記憶がありますか? 幼児の時は、そこはかとなく輪廻の記憶があっても、7、8歳頃になると忘れてしまう事が多いようです(大人に言っても取り合ってくれないし、徐々に現実世界の方に意識が向くので)。 私は自分が3歳の頃の、人生の最初の記…

般若の独り言~4歳の大志

10月14日、福岡ダンマセンターの勉強会に講師として顔を出しましたら、「駅に貼る宣伝ポスターが出来ました」と言って、上質紙に印刷された、私の顔写真の載っている、勉強会の案内ポスターを見せて頂き、10枚ほど頂いて帰りました。 私は、自分から積極的に…