南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-17

菩薩は答える: 「国王。彼女は、己の美貌を過度に自慢して、そのために生活が放逸で、善い事をしませんでした。ゆえに、彼女は、現在、この公園の中で一匹の糞虫(=糞の中の蛆)になっています。 「そんなことは信じられない!」国王は言う。 「それでは、…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-16

当時、菩薩はヒマラヤの麓に住む、一人の沙門であった。 彼は、五神通と八定を擁していた。 ある日、彼は天眼通で、インドを観察した所、アッサカ王が悲泣しているのが見えたので、即刻、彼を助けてあげようと決心した。 彼は神通を利用して天空に飛びあがり…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-15

5-2-1 アッサカ本生経 昔、名をアッサカ(Assaka)という国王が、カーシ国の波達里という町に住んでいて、公正公平に己の国を治めていた。 彼の皇后ウッバリ(Ubbari)は、彼の非常に愛する女性であった。彼女は非常に美しく、仙女の美しさには及ばないもの…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)3-8、3-9

(3-8) 前の一刹那はすでに滅しさって、現在の刹那は壊滅している最中で、未来の刹那もまた必ず、壊滅するであろう。 これが ”無常” である。 世間の万物は皆、無常であり、それらは生・滅の脅威にさらされている為、 ”苦” (dukkha)と言う。 世間の万物は、…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)3-7

第三節 生命の本質 仏教では、世間における万物の生起と存在は、皆、各種各様の条件に依存している、と言い、 これらは、”因・縁”と呼ばれる。 多くの縁によって組成された事物と現象は、”縁生法” ”行法” または ”世間法” と呼ばれるが、人間の命もまた例外…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)3-6

名色法は、我々が住んでいるこの世界の、すべての物質的現象と心理現象を含んでいるが、ある時には、特別に、心身の現象を指す事が有る。 五蘊は、また名色法とも言い、物質的な身体と、各種の心理現象を含むものである。 こうして、いわゆる生命が構成され…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)3-5

名法は、また二種類に分類することができるーー心と心所である。 心(citta)ーー目標を認識する心理的活動。 心所(cetasika)ーー心に随伴して、同時に生起し、かつ、心を助けて、全面的に目標を知ることができるようにする各種の心理作用。 たとえば、感…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-14

一切の不善業と、生まれ変わりを齎す善業は、すべて集諦である。 それではなぜ、仏陀は、当該の経文において、ただ貪愛だけを集諦である、と述べたのか? それはたとえて言えば、一粒の種の中に、いまだ水分が含まれているか、または(+エネルギーが)潜在…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-13

5-2、苦集聖諦 経文は、第二項の聖諦を、以下のように解説する: 「比丘たちよ。これが苦集聖諦である; それは生まれ変わりを齎す貪愛であり、四方に愛楽を探し求めるが、それはすなわち、欲愛、有愛及び非有愛である。 比丘たちよ。これが苦集聖諦である。…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)3-4

では、なぜ、物質的な現象を”色”と言うのか? 色、パーリ語で rūpa 、その語彙は、動詞のruppati から来ている。 その意味は、変質、破壊、圧迫、逼迫である。 故に、仏陀は言う:変質するが故に色と言う。 また、一切の物質は変質する本質を持つが、これを…

是誰庵のひとやすみ~身口意に注意

私は、子供の時から仏教が好きでしたが、 日本の大乗仏教界の現状に疑問を持ち、 30歳過ぎた頃から、タイや緬甸(ビルマ、 ミャンマー)に行って、テラワーダ仏教 (南伝仏教)を学びました。 その過程で、「(人の心を解放へ向かわせる) 仏教ってやっぱり…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)3-3

第二節 生命の構成 生命・・・、仏陀の教法の中において、非常に重要な課題となっている。 仏教は、生命の構成について分析し、生命の真相について認識し、生命の本質を研究するが、その最終的な目標は、生命の諸々の苦から解脱する為である。 仏教は、生命…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-12

五取蘊とは何か? それはすなわち、色取蘊、受取蘊、想取蘊、行取蘊及び識取蘊である。 色取蘊とは何か? 《蘊品相応・蘊経》(Khandhā Sutta、 Khandha Vagga Saṁyutta)の中で、仏陀は開示し言う: ’Yam kiñci rūpaṁ atītānāgatapaccuppanṇāṁ ajjhattaṁ vā…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-11★

比丘たちよ。 求不得苦(=求めても得られない苦)とは何か? 比丘たちよ。 生を受ける衆生が、内心においてこのように願望する: 『どうか私は、生を受けませんように、どうか私は生まれ変わりませんように!』。 が、しかし、このことは願望だけによって達…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)3-2

仏教には、非常に重要な禅の修行論があるが、その名を《清浄道論》(visuddhi‐mgga)という。 当該の論では、以下のように解説する: 苦、パーリ語ではdukkha、du(下劣な)+kha(空無な、空虚な、空っぽな)から、構成されている。 というのも、生命は、お…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2‐11+3‐1

《法句(+経)》第165偈で、以下のように言う: ”悪をなすのは、真に己自身による、 汚れることもまた、己自身による。 己自身のみが、悪を為さず、 己自身によってのみ、清浄が得られる。 清浄不清浄は、己自身により、 他人を清められるというような、 そ…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-10

「怨憎・会、愛・別離、求・不得」は、有貪の苦(sarāga-dukkha)という。それは、執着によって生じる苦であるから、とする。 仏陀は《大念処経》の中で、このように説明している: 「比丘たちよ。 怨憎会とは何か? ここにおいて、どのような人であっても、…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-9

(+前篇「4-8」で述べた)この種の苦以外に、別の経の中で、仏陀は、また別の五種類の苦について語っている。 それはすなわち、愁、悲、苦、憂、悩である。 仏陀は《大念処経》の中で、以下のように解説している: 「比丘たちよ。 愁とは何か? いついかな…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-8

5、四聖諦 5-1、苦聖諦 仏陀は言う: 「比丘たちよ。 これは苦聖諦である: 生は苦である、老いは苦である、死は苦である、怨憎会は苦である、愛別離は苦である、求めて得られずは苦である。簡単に言えば、五取蘊は、苦である。」 生、老、病、死は、世俗諦…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-10

ここでもう一つ物語りを紹介したい。 仏陀御在世の時、名前をヴァッカリ(Vakkali)という青年がいた。ある日、彼は、町で仏陀に出会い、仏陀の英俊な風貌と、荘厳なたたずまいに深く引き込まれた。 常に仏陀を見ていたいが為に、彼は出家して比丘になった。…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-7

4-2 八聖道分 仏陀は《転法輪経》の中で、引き続き、以下のように言う: 「比丘たちよ。徹見を引き起こし、真知を引き起こし、寂静、勝智、正覚、涅槃へと向かう中道とは、何か? それは八聖道分であり、すなわち、正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-9

摩嗄藍は再び問うた: ”一人一人の弟子は、そのように指導された後、修行の最終目標ーー涅槃を証悟する事はできますか?” 世尊は答える: ”ただ一部分の人だけが、修行の最終目標ーー涅槃を証悟することができます。ある種の人々はできません” 摩嗄藍は不思…

是誰庵のひとやすみ~マインドフルネス

今朝、二男のフェースブックを見ていると、誰かさんのフェースブックに繋がりました(こういう仕組み、PC音痴のわたくし、実は、余りよく分かっていないのですが)。 その誰かさんの記事がなかなか面白かったので、簡単にご紹介。 それは今はやりの、マイ…

是誰庵のひとやすみ~鳩ちゃんがやって来た

我が家には私と、白毛のペキニーズのオハナ(オス)がいます。以前、インコも飼っていましたが、私の不注意で、オハナにかまれて、死んでしまいました(籠の扉を自分で開けて、トコトコ出てきていたのに気が付かなかった)。 そんな中、我が家に鳩ちゃんがや…

是誰庵のひとやすみ~私とは誰か?

今年の夏、クムダ・サヤドーの、熱海での リトリートが終わった後、私は『無我』 (ブッダダーサ尊者著)という本の翻訳に 取り掛かりました(現在<菩提樹文庫>で 公開済み)。 その理由は、我々仏教徒は、仏教徒にとって 最も重要な問いかけ、「私とは誰…

是誰庵のひとやすみ~貧困と老後とアーミッシュ

先ほど、インターネットの記事を読んでいましたら、現代の若者(老人も含むのでしょうが)は、貧困と老後の事が心配なのだ、とありました。 貧困、これは、現行の社会体制が悪いでしょうか。 ようやく就職できたとしても、ブラック企業が多く、サービス残業…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-6

4-1、軛孔経 ここで、私は《相応部・軛孔経》(Saṁyutta Nikāya、Chiggaḷayuga Sutta)の中の経文を一部分引用して、四聖諦の重要性を説明したいと思う。 この経の中で、仏陀は言う: 「比丘たちよ。もし、ある人が、真ん中に穴の開いた軛を大海の中に放り込…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-5

4、中道 仏陀は続けて言います: 「この二種類の極端を避けて、如来は中道を実践する。この中道は、徹見(=徹底的な知見)、真知(=真実なる知見)を引き起こし、寂静、勝智、正覚、涅槃へと向かう」 「中道」と呼ばれるのは、それが、二種類の極端な行為…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-8

名を《算術師摩嗄藍経》という経文がある: ある日、姓を摩嗄藍という算術師(数学の教師)が、世尊を訪ねてきた。 お互いにあいさつを交わした後、算術師摩嗄藍は世尊に問うた: ”友、ガウタマよ。この殿堂を建設する時、一層の上にまた一層と建てていかね…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-4

3、二種類の極端 二種類の極端な行為について、仏陀はこう 述べている: 「一種類は、感官の享楽に迷い、沈潜する事で、これは低俗な、粗野な、凡夫の、非神聖な、利益のない行為である;もう一つは、己を苛む苦行で、これは苦痛で、非神聖で、利益のない行…