南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)~211-6

この経では、仏陀はまた別の例を出して、愚人が悪道の中で、どのように長期的な苦しみを受けるのか、を説明している。

彼は言う:

「ある一人の人が、大海にくびきを投げ入れたとして・・・(中略)・・・盲目の亀は、その頭をくびきに入れるまでどれくらいの時間がかかるだろうか?」

「世尊、非常に長い時間がかかります」

「比丘たちよ。私は、盲目の亀がその頭をくびきに入れるまでの時間は、愚人が悪道に堕ちてから、再び人間界に戻ってくるより短い、と言う。どうしてか?

というのも、悪道においては、修すべき法がなく、修すべき善がなく、造るべき善がなく、造るべき福がない。

悪道で盛んなのは、お互いに殺戮することと、弱肉強食だけである。

長い時間を経て、その愚人が人間界に戻ったとして、彼は低賎の家、たとえば、奴隷、漁師、竹職人、車夫、またはゴミ拾いの家に生まれる。

その家は、赤貧洗うがごとくで、食糧は少なく、生活は困苦で、衣服は少々しかない。彼は醜悪で、見にくく、奇形で、多病で、盲目で、手足に障害があり、または中風であったりする。彼は食べ物、飲み物、衣服、車、花、香り、薬、ベッド、住む場所と光を得られない。

彼は身口意の悪業をなす。これらの悪業をなして、彼は身体が分解されて死亡した後、悪道、苦趣に堕ちるか、地獄に落ちることさえある。

比丘たちよ。もし、一人の博徒が、一回目(+の賭けからすでに負けて)から子供、妻とすべての財産を失い、己自身も奴隷になったとしても、この種の不幸は大したことがない。

これよりなお不幸なのは、愚人が身口意の悪業をなし、身体が分解して死後、悪道、苦趣に入るか、地獄にさえ落ちるであろうことである。

これが、愚人の最も愚かな境涯である。」

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(つづく)

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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>