Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(5)

 テーラワーダに宗派はあるか?>

私が日本で「緬甸で出家して尼僧になりました」と言うと、ほとんどの人が「で、宗派は何?」と尋ねます。

テーラワーダには日本で言うような<宗派>は、ありません(厳密な意味で分類すれば、あるかもしれません。修行方法が違う、経典の解釈が微妙に違う、などということはあると思います。ただ、おおっぴらに「我々は何々宗だ」と名乗っている所はないようです)。

タイのテーラワーダは、森林寺院派(王室派)と町派(庶民派)に分かれています。

森林寺院派は、ある時代の王様の弟が出家して、腐敗していた仏教界を改革して打ち建てられたもので、戒律が厳しく、プライドも高いです。

町派というのは、都会に多くありますが、森林にあっても町派は、町派です(笑)。主に都会にあるので、いつでも訪ねて行けて、悩みの相談にものってくれて、町のよろず相談所の機能を果たしています(タイでは、森林派の僧侶は法力があると言われ、非常に尊敬されます)。

私がビルマのモーラミャインのパオ本山にいたとき、何かのお祭りで(安居明けのお祭りかも)市内のお寺に連れて行ってもらったことがあります。

在家の方々がものすごい量のごちそうを作って、比丘や、私たちsayalayに布施してくれました。

雰囲気は、修行中心で、瞑想センターの機能を持つパオ森林寺院と違って、町の人々に溶け込んでいる感じで、ここでは、比丘たちは、特段の修行はしていない、という説明を受けました(数珠を繰って集中力を養うことはしていました)。

テーラワーダのお寺は、歴史的経緯と、場所柄などの関係で、それぞれのお寺に特色がありますが、宗派争いはない、というのが基本的認識です。(スリランカの歴史を見ると、王様が大寺派を支援したので、他の派が衰退した、という話が載っています。寺院同士、何らかの争い、矛盾は避けられないようではあります)。