Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

般若の独り言~入菩薩行論

下の写真は

『入菩薩行論』

寂天菩薩(シャンティデーワ)著

貢葛旺秋(gong ge wang qiu) リンポチェ 解説

張恵娟居士 訳

この仏教書も、台湾で出版されたもので、昨日紹介しました『摂阿毘達摩議論表解』と同じ大きさの大型本。もちろん、無料で配布されたものです。

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菩薩行は、大乗の占有ではなく、テーラワーダ南伝仏教)にも、南伝菩薩道論があります。大乗菩薩行は、より古い南伝菩薩道を下敷きに、時代に対応する様、手を加えたものと思われます。

どちらにせよ、菩薩道を歩みたい者は、菩薩行(道)論を学び、実践する事になります。パオ・セヤドーによると、菩薩行は大変な辛苦を伴い、どの様な困難にも耐えうる決意が必要なのだそうです。

強い意志と勇気、徹底的に利他に生きんとする者、我と思わん者は、是非。

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>

 

 

般若の独り言~アビダンマッタサンガハ表解

下の写真は、

『摂阿毘達摩義論表解』

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(副題=Abhidammatthasaṅgaha‐vitthāra)

写真が暗く、見にくくて、すみません(フラッシュを焚けばよかったですね)。

 

出版者は台湾法雨道場、非常なる大型本、<21*30*2.5cm=1kg近く>あります(あっ、T君、4kgだ なんて言ってすみません。間違えました)。

全編これ表か絵図になっていて、文章は少な目、漢文が得意な人なら、解読できるかも知れません。又章の末尾毎にテスト部分もあって、それに答えている内に、相当の知識が付きそうです(正解するには、相当高度の知識が必要、の様です)。

編者は、明法比丘(Bhikkhu Metta)。

20年前、緬甸モーラミャインのパオ森林僧院本山の図書館で、この人が編集した中国語の仏教雑誌を見たことがあり、どの様な方なのかと思っておりましたら、台湾法雨道場の(元)住職さんで、台湾にパオメソッドを紹介した先駆者のお一人でした(心臓病にて急逝、現在の住職さんは明覚大長老)。

<修訂(監修)>を担当の羅慶龍先生(教授)は、現在台湾におけるアビダンマの第一人者で、台湾テーラワーダ法友の間では『アビダンマは羅先生に聞け』が合言葉だそうです。

私も来年か再来年、羅先生の授業を受けてみたいと思っています。

尚、この様な大型本であっても、台湾では、仏教書は無料で配られます(タイ、ミャンマーでも仏教書は基本、無料で配られます)。

仏法は至高の宝、値段をつけて売買するものではない・・・面目躍如です(表紙の下半分に写っている建物は、法雨道場の事務室兼図書館)。

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Paññādhika Sayalay般若精舎>

 

般若の独り言~大根糕(大根餅)

もうすぐ2020年ですね。

と言っても、齢70の老サヤレーには、特段<お正月>というものは来ないですが・・・今夏に仏教書翻訳終了宣言をした為、今年の年末はゆったりしていて、お世話になった近所の方に何か作って差し上げようと思い・・・大根糕を作ってみました。

大根糕は、台湾人が好むおやつで、子供の時、年末になると父が、大量の大根を買って来て大根おろしにし、それを自分の家の石臼で引いた餅粉(米粉?)と混ぜて蒸し上げたものを、神戸の親戚に配って歩いたものです(しょうゆ味の豚肉、椎茸なども入る)。

今回は『家庭で作る中国点心』(昭和55年発行)と、私の子供の時のおぼろげな記憶を頼りに、上新粉白玉粉と大根、ベーコンを合わせ、竹製の蒸籠で蒸し上げました。

蒸籠は、10年前、台北に住む従兄弟に車を出して貰って、竹製品専門店で買ったものですが、大根糕を流し込んだ笊と蒸籠の大きさがマッチして、糕作りに大活躍してくれました。

注=上記の文章、<大根餅>と書きたい所、<大根糕>としましたのは、実は<餅>は、中国語では、ビスケットの事。もち米また上新粉を使った餅は、中国語では糕と呼びます。

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>

 

 

般若の独り言~飲酒の破戒

南伝仏教テーラワーダ)の戒律は厳しく、沙弥(サーマネン)も比丘もサヤレーも、飲酒は厳禁です。

ただ、【では、病気の為に、養〇酒を飲むのも、ダメなのですか?】

とよく質問されます。

以前、某尊者が<養〇酒でもダメ>と解説するのを聞いたことがあり、その為、私も、その様に説明した事があるのですが、

《教海覚舟》(中国語版)P48に

【病気の治療のために、アルコールに混ぜて作成された薬剤を飲むのは、たとえお酒の味がする場合であっても、放逸に泥酔するのでなければ、戒律違反ではない】

とあります。ご参考まで。

追記:テーラワーダの戒律は、比丘尊者の方々はお詳しいと思いますが、ミャンマーとタイでは解釈が微妙に異なっていたりして、正確に説明するのが難しい場合があります。疑義のある場合、各々でご研究されてみて下さい。

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>

般若の独り言~自分の人生を生きる

今朝起きて、IT のニュースを見ていましたら、田嶋陽子さんの

「(フェミニストという言葉と関係なく)あなたは子供の頃に望んだ自分の人生を生きていますか?」

という問いかけに、出会いました。

私  「Yes!」 です。

私が4歳の時、大阪の親戚(伯父・叔母)の里子に貰われた事があります。

先方には子供がなく、大きな商売をやっていたので、それを私に継がせようと考えたのでしょう。

私は大阪にやって来て何日か後に、叔父と叔母に抱かれて、彼らの経営する商店を見て回りました。

その時思ったのです

「この人たちに育てて貰ってはならない。

この人たちに恩を受けたならば、私は恩返しの為、彼らの商売を継ぎ、彼らの老後を見なければならなくなってしまう。それは、私の望む人生ではない。」

「私には大きなミッション(注1)がある。

実家(神戸)に帰って、祖母に育てて貰おう。

祖母なら無償の愛で育ててくれるから、大きくなったら、私は私の望む人生を歩む事ができるに違いない」(日本に馴染めなかった母が台湾に戻ってしまった為、祖母が孫の面倒をみていた為)

そして、私は大阪の伯父宅でハンストをし(正確には、食事はしたけれど、沈黙の行をして、伯父叔母と、一切話をしなくなった)、伯父叔母は「この子は我々に馴染まない」といって、半年後、私を実家に戻してくれました。

実家に戻った私は、思わずガッツポーズ(笑)。

その後、私 5歳の時に、父の蓄音機(古いですね~笑)から流れてくる歌曲【お富さん】の中のフレーズ《お釈迦様》という一句を聞いて、雷に打たれた如く、直立不動になり

「私は大きくなったら、この人の事を勉強する」

「これは遊んでいる場合じゃないぞ」

と思いました。

いや本当に、ゴータマ仏陀の教えの真髄、アビダンマ仏教を学び、修行しようとしたら、遊んでいる場合ではありません(笑)

来年は、出来る限り、海外のリトリートに出る予定です。

フェニミズムと言わずとも、

凛凛として独立不羈・・・そんな人生でありたいものです。

(注1)4歳の子供が、こんな難しい言葉を知っていたわけではないですが、「私は商売をしに生まれて来たのではない」という意識、決意の様なものは、はっきりと認識しておりました。

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>

般若の独り言~『教海覚舟』紹介

12月19日のブログに

『教海覚舟』

の表紙写真を載せましたが、内容を少しだけ紹介します。

副題に

<SHĀSANĀVATARAṆAYA>上座部出家律儀要略)

とあります。

これはパーリ語ではなく、シンハラ語だそうです。

シンハラ語得意な方、解読お願いします。

【中国語訳序文】の説明では、この本は、スリランカ

月無垢大長老(Rerukāne Candavimala Mahā Thero)

の著で、龍樹林僧団(=スリランカ・ナウヤナ僧院)サーマネラ予備班の教材である、との事。

P101

破戒の禍

比丘の助縁

比丘の修習

P135

比丘の討論してはいけない話題

P151

僧俗関係

(僧侶が)法を説くときの注意点

比丘の触れてはならない人(=女性、その他)と女性との往来について

P188

利養(=必要以上に利益を得る事)について

等など、僧と俗が、お互いに守らねばならない規範、特に出家者が守らねばならない規律とその解説が、ぎっしりと A4、254頁 に書かれています。

先日、知人が IT 上の英語版を探しましたが、「見つからなかった」との報告がありました。

僧俗の遵守すべき戒律・道徳に関して、これほど綿密に書かれた著書は寡聞にして、他に見たことがなく、英語版はいずれ IT 上に載るのではないか、と期待しています。

どなたか、見つけられたら、教えて下さい。

最後に、この本の序文を書かれたのは 

龍樹林僧団(ナウヤナ僧院)の院長

Rev Angulgamuwe Ariyananda Thero

である事を申し添えておきます。

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>

 

 

般若の独り言~パオセヤドー自筆のメモ

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先日来、住所録の整理をしています。

古い住所録には、すでに鬼籍に入った人のお名前等があって、全体が乱雑になっていました為、今現在交流のある方、または主要な施設の情報を選んで、新しい住所録に転記している所です。

その時、「あれ?」とよくよく見ると、古い住所録の一頁に、パオ・セヤドーの自筆のメモが貼り付けてあるのを見つけました。

白い紙に<ダビンタイニャーナ><2005年8月1日>と記載されていますのは、私が千葉の病院で、癌の手術を終えて3、4年後、パオ本山で修行している時に、パオ・セヤドーに、緬甸に何か、癌に効く薬草がないか、お訊ねた時の、パオ・セヤドーの回答です。

また、私がパオ・セヤドーの下で出家した時、

【貴女の戒名は Pañña-adhika です。

意味は sharp wisdom です】

と、書いたメモを手渡してくださったのですが、小さく折りたたんで、眼鏡ケースに入れていて、ある日突然、私、眼鏡ケースと共に、これ、捨ててしまいました~苦笑)。

(私はなぜか、突発的に、貴重品を捨てる癖があります。

もう随分昔の事ですが、中国に出張して、北京の北海公園で偶然出会った溥傑氏(ラストエンペラー溥儀の弟さん)に、

李白乗舟将欲行・・・』という

私の好きな詩を、大きな紙に墨で書いてもらったのですが、これも、帰国後突発的に・・・あれはもったいない事をしました。

溥傑さんは、ご自分の運命を受け入れられて、休みの日には、一市民として、公園などで水墨の腕を振るわれて、誰かれとなく乞う人に、書画を認めてプレゼントしている、との事でした。

その時は「日本から来たの?何か書いてあげましょう」

と言って、私の好きな李白の詩文をすらすら、墨で認めて下さったものです。それを捨ててしまって・・・いやぁ、もったいない事しました)

とまぁ、話は飛びましたが、上の写真は、パオ・セヤドー自筆のメモ。

今後、突発的に捨てる事があっても大丈夫な様に、写真に撮りました(笑)。

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>